2014 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライト骨格の原子配列制御による高選択的反応場の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of nanostructure-property relationships for materials innovation |
Project/Area Number |
26106508
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横井 俊之 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (00401125)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゼオライト / ヘテロ原子 |
Outline of Annual Research Achievements |
H-ZSM-5は,10員環の直線状細孔とジグザグな細孔が互いに交差した3次元細孔構造を有する.10員環細孔は直径5.5 Å程度であるが,細孔の交差した場所(インターセクション)は広い空間となっている。酸点を細孔内かインターセクション内のどちらかに選択的に発現させることができれば触媒特性の制御が期待できる.これまで,様々な有機構造規定剤(OSDA)を用いてH-ZSM-5を合成し,ヘキサンおよび3-メチルペンタンの接触分解挙動から酸点の位置を推定した。今年度はトルエンおよびm-キシレンの転換反応を行い、骨格内Al分布が触媒活性に与える影響を検討した。
OSDAとしてテトラプロピルアンモニウムカチオン (TPA+)を用い,Na+存在および非存在下でSi/Al=50程度となるようにH-ZSM-5を合成した。トルエンおよびm-キシレンの転換反応は300 - 375 ℃で行った.トルエンの転換反応では微分反応条件となるように,m-キシレンの転換反応では転化率が30%以下となるようにW/Fを調節した.いずれの反応においても,外表面酸点の影響をなくすため2,4-ジメチルキノリン共存下で反応を行った。
酸点位置が異なり,同程度の結晶サイズを持つ[TPA]および[TPA, Na]を用いてトルエン,m-キシレンの転換反応を行った。生成物分布からトルエンの転換反応ではほぼ不均化のみが,m-キシレンの転換反応は異性化および不均化が進行していることが分かった。トルエンの不均化ではいずれの反応温度でも[TPA]が[TPA, Na]の2倍以上の活性を示した。トルエンの不均化は嵩高いジフェニルメタン型の中間体を経由する。したがって,直線状細孔もしくはジグザグ状細孔の狭い部分に面している酸点上よりも,広い空間であるインターセクションに存在する 酸点上では嵩高い遷移状態が形成されやすく,容易に反応が進行したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ZSM-5ゼオライトに対して、合成ゲル中のカチオンの種類・量を調整し合成を行った。合成したZSM-5を用いていくつか触媒反応を行い、ことなる触媒性能を見出すことができた。これらの事実より、合成ゲル中のカチオンの種類・量をかえることにより骨格内のAl原子の位置をかえることができるということが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
B、AlならびにTiのTサイトの制御したゼオライト反応場の構築 有機・無機カチオンの種類、B、AlおよびTi源の導入時期、導入後のポスト処理(酸処理、アルカリ処理、スチーミング処理)などを体系的に精査し、「ゼオライト骨格内の原子配列の自在制御」を達成し、2つのターゲット反応に最適な高選択的特殊反応場を構築する。Tiの場合にはホウ素含有MFIを合成し、ホウ素の位置をあらかじめ制御しておき、脱ホウ素し、ホウ素が抜けた欠陥にTiを導入できないか検討してみる。
メタノールから低級オレフィン合成 Al置換サイトと酸触媒性能の知見をフィードバックした触媒調製の実施。さらに候補触媒については粒子形態制御も試み、H26年度までにMTO反応におけるプロピレン選択率の向上(60%以上)ならびに長寿命化(48h以上)を達成するような触媒改良を実施する。
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Research Products
(2 results)