2014 Fiscal Year Annual Research Report
インフォマティクスに基づく固体光学結晶材料の設計
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of nanostructure-property relationships for materials innovation |
Project/Area Number |
26106518
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
池野 豪一 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (30584833)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マテリアルズインフォマティクス / 機械学習 / 第一原理計算 / 無機蛍光体 / 固体レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
遷移金属元素・希土類元素を添加した無機固体結晶はレーザー結晶や蛍光体等の光学材料として工業的にも利用されている重要な物質である.現在も新規ホスト結晶の探索が精力的に行われているが,材料探索の対象となるのは3元以上の多元系物質であり,元素の種類や組成の組み合わせの数を考えると網羅的探索は困難である.そこで本研究では機械学習を用いて無機固体光学結晶の光学特性を高速・高精度に予測するモデルを構築し,新規光学結晶材料探索へと応用することを目的としている. 平成26年度においては,Eu2+を添加した無機蛍光体を対象として,その光学特性のデータベース構築を行った.Eu2+系無機蛍光体の発光は4f-5d遷移に起因する.そのためホスト結晶の組成,構造により5d軌道の結晶場分裂を変えることで様々な波長の発光が観測され,100を越える系について実験結果が報告されている.得られたデータベースを元に,蛍光体の色を決めるパラメータとして重要な最大発光ピークエネルギーについて,教師あり学習法の一つであるサポートベクター回帰により予測モデルを構築した.説明変数として,ホスト結晶を構成する各元素の組成および原子の根源的情報(電気陰性度,価電子数,イオン化エネルギーなど)を用いた.交差検証によりモデルの妥当性を確認したところ,平均2乗誤差0.22eV程度の精度で発光ピークエネルギーを予測するモデルを構築することができた.これは発光の色相(紫・青・緑・黄・橙・赤)を識別することが可能である程度に小さい誤差である.また,今回用いた説明変数は,ホスト結晶の化学組成のみから求められるものであることから,このモデルは幅広い系について適用することができるという利点がある. これらの成果については学会および,本新学術領域のシンポジウムにおいて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無機光学結晶の特性についての代表的な量については,容易に計算できる説明変数を用いて予測モデルを構築することができた.また,スペクトルの直接予測に関して,データベースの構築は順調に進んでいる.また予測モデル構築にあたり,比較的少ない計算量で精度の高いスペクトルを予測するための手法について調査とプログラムの実装を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は吸収・発光スペクトルそのものの直接予測を主目的として研究を推進する. 具体的には,離散化した吸収・発光スペクトルを目的変数として回帰モデルを行うのであるが,生のスペクトルそのものを回帰の対象とするとデータ量が膨大となる.そこで,スペクトルデータベースに対して主成分解析あるいは非負値分解により特徴スペクトルを抽出しそれらの線形結合で様々な物質の光学スペクトルを記述し,その線形結合の重みを目的変数として回帰を行うことによりスペクトルの高速計算を可能とする. また,スペクトル形状は光学中心となる遷移金属・希土類原子周辺の局所環境に影響を受けることから,回帰の説明変数として光学中心原子の置換サイト周辺構造に関する情報を含める必要がある.今後はスペクトルを予測する上で最適な説明変数のセットを探索する.また,第一原理計算によるスペクトルの定量計算を組み合わせてデータベースの更新,予測モデルの改良を図る. 以上のステップを繰り返し,無機固体光学結晶におけるスペクトルの高精度予測モデルを構築すると共に,新規ホスト材料の探索へと応用する.
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Impact of local strain on Ti-L2,3 electron energy-loss near-edge structures of BaTiO32014
Author(s)
Shirou Ootsuki, Hidekazu Ikeno, Yuji Umeda, Yu Yonezawa, Hiroki Moriwake, Akihide Kuwabara, Osamu Kido, Satoko Ueda, Isao Tanaka, Yoshinori Fujikawa, and Teruyasu Mizoguchi
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Journal Title
Microscopy
Volume: 63
Pages: 249-254
DOI
Peer Reviewed
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