2014 Fiscal Year Annual Research Report
超格子原子層材料の展開
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Atomic Layer Systems |
Project/Area Number |
26107504
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 武志 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90363382)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ダイカルコゲナイト / 原子層 / ReS2 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の最近の実験によって、WS2の単層材料作製には、リチウムの吸着・脱着を利用することが有効であることが明らかになった。そこで得られた興味深い知見とは、粉末材料の時は半導体相(2H相)をとるが、リチウムの吸着・脱着を利用すると構造が変化し、面内に超格子構造を有する金属相(1T’相)が現れるということである。この相は迷路パターンを有しており、ちょうど隙間のところが活性サイトになり、Ptに匹敵する水素生成用触媒となることが明らかとなった。しかし、単層内にあらわれる超格子構造の存在は、国内外で十分認識されているとは言いがたい。学術面では特異的な電子状態について詳細を知る必要があるし、応用面では塗布法を利用した高面積な電極の作製が重要になってくる。本研究目的は、このような面内に超格子構造を有する原子層材料を領域内で多角的に研究することで、新しい基礎知見を共有し、新しいアプリケーションへ展開することである。 本年度は、これまで報告例のなかったReS2粉末からリチウムインターカレーションによる化学剥離により、ReS2ナノシートの作製に成功した。作製したナノシートを電子顕微鏡、X線分光法(XPS)、ラマン分光法、フォトルミネッセンス(PL)によって基本物性を評価した。剥離されたナノシートは超格子構造を有しており、HERの電極材料として高活性であった。PLの評価をしたところ、810 nm(1.53 eV)のところでピーク値を持ち、これはバルクの値850nm(1.45 eV)にくらべてやや小さい値となった。特筆すべきは、半導体の特性を保持しながら、水素発生反応(HER)電極反応に活性であるということであり、半導体相のMoS2、WS2はHERには低活性であることが知られている。このように剥離したReS2ナノシートは従来の半導体ナノシートにはない特性を有していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来報告されていなかったナノシートを最初に報告し、さらに応用展開できると思われるので。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の研究者と共同研究し、新領域研究だからこそできる研究に注力していきたい。例えば、物性班との連携や光学物性に長けたアメリカとの共同研究を進めていく予定である。
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