2015 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェンにおける非平衡キャリアの超高速分光による研究
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Atomic Layer Systems |
Project/Area Number |
26107520
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小山 剛史 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20509070)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 原子層 / ナノ材料 / 光物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、単層グラフェンの非平衡キャリアダイナミクスに対する基板や周辺雰囲気の影響を理解することであった。現象を詳細に理解するため、本研究では、非平衡キャリアダイナミクスを実時間領域で観測することを行った。一般に、非平衡キャリアダイナミクスの実時間観測の方法として、時間分解発光測定および過渡吸収測定があり、これら二つの測定では相補的な結果が得られる。本研究では、両測定によって得られた結果を総合的に議論することによって、単層グラフェンのキャリアダイナミクスの理解を目指した。具体的には次の測定を行い、成果を得た。 1.時間分解発光測定 アップコンバージョン法に基づく時間分解発光測定を、SiC基板上および石英基板上の単層グラフェンに対して行った。励起光光子エネルギーは1.55eV、発光を検出した光子エネルギーは1.20eVである。両試料での発光減衰挙動の違いを、基板の違いにより、定性的に説明することに成功した。より詳細な議論のためには、フォノンとの相互作用を定量的に扱う必要があることを指摘した。 2.過渡吸収測定 ポンプ・プローブ法に基づく過渡吸収測定を、石英基板上の単層グラフェンに対して行った。励起光光子エネルギーは3.10eV、吸収変化を観測したエネルギー帯域は1.65から3.05eVである。励起光照射による広帯域な吸収減少を観測し、その励起光強度依存性を測定した。その結果、非平衡状態でのキャリア間散乱に関する知見を得ることに成功した。先行する理論研究をもとに実験結果を解析し、非平衡キャリアによる光学非線形性についても議論した。 本研究において行った時間分解発光測定および過渡吸収測定によって、単層グラフェンのキャリア間散乱やキャリア-フォノン間散乱、キャリアダイナミクスにおける基板の影響について理解が進んだ。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|