2014 Fiscal Year Annual Research Report
自己集積的手法による原子膜複合体の形成
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Atomic Layer Systems |
Project/Area Number |
26107532
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高井 和之 法政大学, 生命科学部, 准教授 (80334514)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グラフェン / 自己集積化 / 複合原子層 / 電荷移動 / ひずみ |
Outline of Annual Research Achievements |
既存の原子膜物質と自己集積的手法により導入した種々の異種化学種との組み合わせによる新たな原子層複合体の合成を行い,原子層間の相互作用を調べることを通じて,新規機能性を発現する物質系の開拓を目的として研究を行い,以下の成果を得た. 1)グラフェンへの分子吸着による原子層複合体の形成と界面相互作用の解明:グラフェンFETへのヒドラジン吸着により,ヒドラジン吸着層とグラフェンの間の電荷移動相互作用により,グラフェンへの電子ドープが起こることを明らかにした. 2)大面積グラフェンを用いた複合原子層構造の構築:高品質大面積グラフェン試料であるSiC上に形成されたエピタキシャルグラフェン(EG)にヒドラジン分子を導入することにより,表面のみならずバルクSiC基板とEGとの間の界面にもヒドラジン分子が分解される形で挿入され,電荷移動によるドーピングに加えて基板からのデカップリングが生じ,界面におけるひずみが解消されることがわかった. 3)基板表面上に形成した自己集積化単分子層の構造制御によるグラフェンの電子物性の変調:グラフェンを支持するSiO2基板上に自己集積化単分子膜を形成することにより原子膜複合体を合成し,下層である分子膜の構造を親水化処理やアニール処理により制御することにより,分子膜と上層のグラフェンとの間の電荷移動相互作用によるグラフェンへのキャリア注入量を向上させることができることがわかった. この他の成果として,層状カルコゲナイドへのインターカレーションによる複合原子層の形成を目指して,TiS2およびTaS2を合成しCu原子の挿入反応の試行,理論班草部グループとの共同研究により,Ar照射によるエピタキシャルグラフェンへの原子空孔の導入とXPSによる評価を行い,空孔に由来する状態と終端化学構造との相関の理論的解明などを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子吸着,基板表面修飾などの当初計画した手法による複合原子層の形成が達成されており,電荷移動によるキャリア注入に関する詳細な知見などが得られつつある.また,層状カルコゲナイド層間やエピタキシャルグラフェンにおける基板界面への異種物質挿入など新たな手法による複合原子層の構築にも着手している.さらに他班との共同研究による成果も出始めている.
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Strategy for Future Research Activity |
1)ゲート電圧を印加した状態で分子吸着を行い,グラフェンと分子吸着層との層間相互作用の詳細を明らかにする. 2)本課題の開始後に新たに見出されたエピタキシャルグラフェンへの基板界面への異種物質挿入による複合原子層構築の可能性について,臭素などの電子吸引性の分子や光架橋反応を起こす有機分子などを導入することにより探る. 3)カルコゲナイド系原子膜に対して自己集積化手法を適用して複合原子層の構築を試みる.
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Research Products
(14 results)