2014 Fiscal Year Annual Research Report
軸索パターンの構築において空間情報伝達と構造的安定化を司る分子反応の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
26107707
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小西 慶幸 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00382838)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 軸索 / 微小管 / シグナル伝達 / パターニング |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度において分岐した枝毎の微小管の動態をGFP-tubulinを用いた光褪色後傾向回復法(FRAP)により解析したところ、隣接した軸索長短枝間で短枝では3倍近い解離反応速度の違いが検出された。この違いがキネシンに依存するか否かを明らかにするため、長さが同等の軸索分枝間で蛍光標識したキネシンモーター領域(K5H)の存在量と微小管の解離反応速度を比較した。その結果、K5Hシグナル量が低い分枝では解離反応速度Koff=0.0014/sに対し高い分枝ではKoff=0.0020/sであり有意な差は見られなかった。このことからキネシンの分布が軸索分枝の長さの変化を介して間接的に微小管の動態を制御する可能性が示唆された。 次に神経細胞内にGFP-EB3を発現させることで微小管の伸長を解析した。分岐軸索の長枝・短枝でEB3シグナルの出現頻度を解析したところ、分岐点からの距離では短枝0.096/μm,長枝0.046/μmで有為な差が検出された(p<0.05).一方、末端からの距離では短枝0.12/μm,長枝0.10/μmで有意な差は検出されなかった。また、EB3の移動速度は約0.1μm /sで長枝・短枝間で有意な差は見られなかった。以上の結果から長枝・短枝間で生じるFRAPの回復速度の違いは軸索末端からの距離に依存した違いにより説明できることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、神経細胞の多次元タイムラプスイメージングにより分岐軸索内の領域に依存した微小管制御の違いを検出することに成功した。アクチンについても解析結果が得られており、次年度さらに詳細に解析する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、当初の実験計画の通り分子機能の阻害による影響の解析を行う。 研究を推進する上での問題点としてタイムラプスデータが一部不鮮明であり、これを改善することでデータ取得の効率が高まると考えられる。対物レンズやフィルターをより適したものに交換することで、鮮明なデータ取得を試みる。
|