2014 Fiscal Year Annual Research Report
鉱物組成クラスターの気相反応による表面反応機構の探究
Publicly Offered Research
Project Area | Evolution of molecules in space: from interstellar clouds to proto-planetary nebulae |
Project/Area Number |
26108510
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荒川 雅 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10610264)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金属クラスター / イオンー分子反応 / 鉱物科学 / 分子進化 / 気相反応 / シリコン / アルミニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
クラスターを鉱物表面のモデルとして捉え、鉱物表面での反応と分子進化過程の解明を目指している。分子雲、原始惑星系における鉱物表面での化学反応過程の探究を目的に、鉱物組成クラスターを生成し、その生成過程を調べた。さらに、鉱物組成クラスターと種々のガスとの反応について物理化学研究を行った。 まず、アルミニウムクラスター正イオン(Aln+)と水・酸素の混合ガスとの反応で水和アルミナ組成のクラスターが生成することを見出し、Aln+とH2OおよびO2が逐次的に反応し、酸化、水酸化、水和反応を経て水和アルミナクラスターが生成する過程を明らかにした。 次いで、原始惑星系に存在する星間塵の主要構成鉱物であるケイ酸塩に着目し、ケイ酸塩鉱物の基本構造を形成するシリコン酸化物を取り上げ、酸化ケイ素クラスター負イオン(SinOm-)の生成と反応実験を行った。n : m = 1 : 2を中心に、2n-1 <= m <= 2n+2の範囲のクラスターが生成することが見出され、これらのクラスターと一酸化炭素、水との反応を観測した。SinOm-とCOとの反応では、n : m = 1 : 2に対して酸素過剰なm >= 2n+1の組成のクラスターに於いて、反応速度が大きいことが分かった。一方で、m = 2n-1ではCO付加、H2O付加のいずれも観測されなかった。理論計算により求めたSinOm-の最安定構造を踏まえると、m >= 2n+1の構造では末端に2つのdangling O原子を持つ4配位のSi原子が存在し、そのうち一方のO原子がCOの吸着サイトであることが分かった。以上の結果から、鉱物表面反応の第一段階であるCO吸着の反応サイトが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉱物組成クラスターの生成を行い、その生成過程を解明した。さらに、翌年度目に予定していた鉱物組成クラスターとCO分子およびH2Oとの反応実験を開始した。マグネシウムを含むケイ酸塩鉱物クラスターの生成には至っていないが、前倒しして反応実験を開始することで、遅れが出ないように研究を進めた。したがって、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、鉱物組成クラスターの反応実験を進める。さらに、マグネシウムや鉄を含むケイ酸塩鉱物組成のクラスターの生成を行う。今年度は鉱物クラスター上でのCOとH2ガスやH分子との反応を中心に行い、有機分子生成の反応素過程を明らかにする。
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