2014 Fiscal Year Annual Research Report
真空紫外マイクロビームを用いた円二色性計測による隕石中のキラリティ分析手法の検証
Publicly Offered Research
Project Area | Evolution of molecules in space: from interstellar clouds to proto-planetary nebulae |
Project/Area Number |
26108515
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 真人 独立行政法人産業技術総合研究所, 分析計測標準研究部門, 主任研究員 (30386643)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 化学物理 / 宇宙科学 / 計測工学 / 惑星探査 / 分析科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本提案は隕石試料などに含まれる有機分子のキラリティを直接分析する手法として、紫外~真空紫外線領域における円二色性スペクトル計測によるものを提案し、その有効性を検証することを最終目標としている。そのために紫外~真空紫外線領域における円二色性スペクトル計測装置の高度化、特にマイクロビーム化などによる高感度化や二次元分布計測システムの開発や理論計算との比較によるキラリティ・分子構造予測手法の開発を行うともに、テスト試料を用いた本装置・手法の評価を行う。 本年度はシュバルツシルトミラーを用いたマイクロビーム光の発生とそれによる円二色性、光吸収の二次元分布計測システム、および得られた円二色性スペクトルから観測分子のキラリティや分子構造を予測するための理論計算システムを構築した。 円二色性スペクトル計測システムは光源である重水素ランプ、前置鏡、分光器、後置鏡、直線偏光子、光弾性変調子、試料ステージなどから成る。本年度はまず前置鏡、後置鏡を中心した光学配置の最適化と光弾性変調子と試料ステージ間にシュバルツシルトミラーを組み込むことで光スポット径を約7mm角から40μm×70μm程度にまで縮小化することに成功した。また円二色性ならびに光吸収の単一波長での二次元分布を自動計測するプログラムを開発した。また理論計算システムは重要な凝縮系での光吸収・円二色性スペクトルの計算が実用的に可能な性能のものを構築した。 模擬試料としてアミノ酸の一種であるL-チロシンの薄膜をメッシュパターン状にフッ化カルシウム基盤上に真空蒸着したものを作製した。この試料の光吸収・円二色性スペクトルと二次元分布を開発したシステムを用いて計測したところ、1㎜角程度の領域において使用したメッシュのパターンと同等な二次元イメージングを観測することなどに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の基礎となるマイクロビーム光を用いた円二色性計測システムの開発とその端緒の二次元分布と100μm以下の試料径でのスペクトル計測に初年度で成功しており、概ね順調に研究目的を達成しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は装置の計測感度・空間分解能の高度化を進めていき、実際の隕石試料で予測されうる円二色性強度・空間分布でも計測可能か、理論計算システムでどこまで観測したスペクトルを再現できるかなどを検証する。また円二色性だけでなく光学活性計測による分析手法も同様に検証する。これらにより本手法の隕石試料のキラリティ直接観察における有用性を評価する。
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