2014 Fiscal Year Annual Research Report
水素化-脱水素化によるLPSO構造の安定性評価と形成過程の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Science of synchronized LPSO structure -Innovative Development of Next-Generation Lightweight Structural Materials- |
Project/Area Number |
26109708
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石川 和宏 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (10312448)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水素吸蔵 / Mg合金 / 構造変化 / 相安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
LSPO構造を有するMg-Zn-Y合金およびMg-Ni-Y合金を、複数の水素圧力、温度条件で水素と反応させ、水素化による構造変化を調べた。Mg-Zn-Y系LPSO相を673Kで0.15MPa水素中に保持すると、LPSO相はYH2とhcpに近い構造を有する新規相に分解する。一方、473K以下では反応は起こらない。水素圧力を4MPaに増加すると、LPSO相はYH3、MgH2、MgZn2へと完全に分解する。次に、4MPa水素中で完全に分解した合金を673K真空中で脱水素化すると、上記新規相とYH2の混合物に変化した。従って、この条件下では完全な脱水素化が不可能であると言える。773Kで脱水素化すると、残存YH2の量は低下し、上述の新規相よりLPSO相に近い構造を有する相が生成した。ただし、長周期構造は再生しないことが分かった。 Mg-Ni-Y系LPSO合金を673Kで0.15MPaの水素中で水素化すると、Mg-Zn-Y系LPSO合金と同様にYH2と上記新規相へ分解する。水素圧力を4MPaに増加すると、YH3、MgH2、Mg2NiH4へと分解する。この合金を773Kで脱水素化すると、LPSOに近い構造を有する相が生成するが、YH2が残存しており完全な脱水素化は不可能であった。また、長周期構造は再生しないことが分かった。 LPSO相の水素化過程を1秒間隔で測定するために、SPring-8にてその場測定可能な機器の開発を行った。まず、不活性ガス中での降温時の構造変化を調べたところ、長周期構造の再生が比較的遅いことが分かった。以上より、長周期構造の安定性はそれほど高くないことが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LPSO構造を有するMg-Zn-Y系およびMg-Ni-Y系合金の水素化による破壊と脱水素化による再生について大まかな過程は判明した。しかし、研究の進捗につれて以下の課題が新たに浮上してきたため、平成27年度に実施する、 (1)0.15MPa水素中で水素化した際に生成した新規相について・・・現時点ではhcpとLPSOの中間的な構造を有する相としか判明していない。X線による構造解析が必要になった。 (2)脱水素化の際に生成したLPSOに近い相について・・・上記と同様に構造が判明していないため、X線による構造解析が必要になった。 SPing-8における水素雰囲気中その場X線回折については、すべての機器が正常に動作すること、不活性雰囲気中でX線回折データが正常に債主可能であることを確認できた。平成27年度は水素中でのX線回折測定を行う。 以上より、当初計画した実施項目は完了しており、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
LPSO合金を673Kで水素化すると、反応速度が速いため瞬時に分解が起こる。そのため、反応速度が遅い低温域で水素化を行い、分解までの過程およびLPSO相の水素化物が存在するか否かを調べる。 150メッシュ以下に粉砕したMg-Zn-Y系およびMg-Ni-Y系合金をステンレス容器にセットし、真空下で1時間の活性化処理を行う。その後、室温~573Kで0.15MPaの水素を導入し、48時間水素と反応させる。反応後の粉末の構造をX線回折法を用いて解析する。 SPring-8にて、開発した機器に実際に水素を導入し、構造変化の過程を1分間隔で測定する。高温高圧で水素と反応した合金を大気中室温環境に取り出すと、水素が直ちに放出されたり水素化物が形成されるため、実際の反応環境下の情報を得ることができない。高輝度X線を用いて1秒間隔での測定が可能になれば、詳細な構造変化の過程が明らかになると考えられる。
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Research Products
(6 results)