2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロピラー圧縮試験によるLPSO相の変形機構解析
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Science of synchronized LPSO structure -Innovative Development of Next-Generation Lightweight Structural Materials- |
Project/Area Number |
26109712
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸田 恭輔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20354178)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | LPSO構造 / マイクロピラー圧縮試験 / 透過電子顕微鏡法 / 変形機構 / 構造・機能材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規軽量構造材料として期待されている新規Mg-TM-RE三元系合金が優れた力学特性の発現メカニズムには,Mg-LPSO相と呼ばれる長周期積層(LPSO)構造を持つ析出物相の存在が大きく関与すると考えられているが,Mg-LPSO相そのものの力学特性,変形機構については未だ十分な理解がなされていない.本研究では,新しい力学特性評価法として注目されているマイクロピラー圧縮試験と透過電子顕微鏡法を最大限に駆使した欠陥構造解析により,Mg-LPSO相において活動可能な変形モードおよびその活動様式,活動条件の同定を行うことを目的とした.本年度はまず積層構造ならびに構造ブロック内におけるZn6Y8原子クラスターの面内配列構造の異なる様々なMg-Zn-Y系LPSO相の作製に成功し,その塑性変形を考える際の基礎となる結晶構造の同定した.次にMg-Al-Gd OD相を含むMg合金の拘束圧縮試験材の変形組織解析を行い,Mg母相においてc軸引張双晶である{11-21}変形双晶が活動し,その変形双晶と等価な変形双晶がMg-Al-Gd OD相でも活動しせん断変形を伝播させていること,変形双晶はしばしばアコモンデーション・キンクの形成を伴うことを明らかにした.またMg-Zn-Y系LPSO相単相マイクロピラー圧縮試験では底面に平行に荷重した場合に上記と同様の変形双晶の活動を示唆する結果が得られた.一方で底面と傾いた荷重軸でのマイクロピラー圧縮試験では底面すべりが活動すること,その他荷重軸の選定によりさらに2種類のすべり変形の活動を明らかにした.さらにこれらの変形モードの臨界分解せん断応力は試験片サイズに依存し,試験片サイズの減少に伴って強度が上昇することを見出し,その外挿値からバルク結晶におけるそれぞれの変形モードの臨界分解せん断応力を得ることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はまず積層構造ならびに構造ブロック内における原子クラスターの面内配列構造の異なる様々なMg-Zn-Y系LPSO相の作製し,その塑性変形を考える際の基礎となる結晶構造の同定に成功した.またMg-Al-Gd系LPSO相において変形双晶ならびにアコモデーションキンクの同定に成功するとともに,マイクロピラー圧縮試験で4種類の変形モードの活動を確認し,それらの活動条件に関する知見を得た.またマイクロピラー圧縮変形挙動の組成依存性の調査ならびに当初計画にはなかった変形双晶形成の詳細解明のためのSEM内その場圧縮試験にも着手していることから,当初の計画以上に研究が進展していると自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は平成26年度までの研究内容を引き続き行うとともに,研究対象をさらにこれまでにキンク帯形成が報告されている各種結晶性材料(ZnやTi3SiC2相など)へと拡大し,マイクロピラー圧縮試験による変形機構調査を行う.得られた結果と初年度のMg-LPSO相の結果との比較を通じて,Mg-LPSO相の変形帯の形成機構解明を目指す.さらにMg相とMg-LPSO相からなる双結晶あるいは三重結晶マイクロピラー試験を行い,Mg-LPSO相の塑性変形挙動に及ぼすMg相の影響についての調査を行う.現在までのところ,研究遂行上の大きな問題点はなく,研究計画の変更の必要はない.
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Research Products
(15 results)