2014 Fiscal Year Annual Research Report
柔らかな金属ナノ電線の精密合成と構造・機能制御
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Architectonics: Orchestration of Single Molecules for Novel Function |
Project/Area Number |
26110504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田代 省平 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80420230)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金属錯体 / ナノリング / 自己組織化 / ナノワイヤー / 超分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属ナノワイヤーを分子素子として活用するためには、ナノワイヤーの精密な配線技術を確立するとともに、外部刺激に応じてナノワイヤーの構造や性質、性能を自在にスイッチングすることが重要である。申請者らはこれまでに、二つの同種・異種金属イオンを選択的に集積化できる有機ナノリング配位子を開発し、さらにリング外周部を長鎖アルキル基で化学修飾したナノリングでは、自己積層することで超分子ナノチューブが形成することを明らかにした。本課題は、超分子ナノチューブの高い金属集積能と優れた構造柔軟性を活用し、金属ナノワイヤーの形状・組成を制御するとともに、ナノワイヤーの機能・物性を動的にスイッチングできる「柔軟な金属ナノ電線」を構築し、これらの精密配線技術を確立することを目指して研究を進めた。 平成26年度は、ナノリング骨格を化学修飾して構造が立体的に拡張されたナノチューブ配位子を合成し、ナノチューブ内孔における様々な金属イオンの集積化を行った。さらに、得られたナノチューブ型二核銀錯体では、多点Ag-π相互作用を介してフェロセンなどの機能性分子を高効率に包接できることを明らかにした。加えてナノチューブ型二核銀錯体に包接されたフェロセンは、通常の溶液状態と比べて酸化還元電位が有意にシフトすることも見出した。これらの知見は、超分子ナノワイヤーの構成分子を高度に機能化できることを示唆しており、ナノワイヤーの構造・機能に対する高い拡張性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、超分子ナノチューブを形成するナノリング錯体の機能化に主軸を置いて研究を進めた。この目的に対しては、銀を始めとする様々な金属イオンに加えて、有機ゲスト分子によってナノリングの内孔を精密化学修飾することに成功し、その成果を論文発表することができたことから、当初の計画以上に進展したと言える。一方で、超分子ナノチューブ構造の配線化や動的構造制御については、現在進行中であることから、おおむね順調に進展している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、機能化されたナノリング金属錯体の合成とその集積化について検討を進める予定である。具体的には、リング内に2つの白金イオンを導入したナノリング型白金二核錯体を合成することを目指す。一般に白金錯体は発光性や触媒能、刺激応答性など様々な機能・物性を示すことが知られていることから、機能性ナノリング白金二核錯体を合成し、これを集積化することにより超分子白金ナノワイヤーの構築を目指す。さらに、刺激に応答してナノワイヤーの構造や性質が動的に変化する柔軟な白金ナノワイヤーの形成を確立する。 上述した超分子ナノワイヤーの機能化に加えて、電極間におけるナノワイヤーの配線技術についても検討を進める予定である。これまでに構築した有機ナノワイヤーなどについて、各種ナノワイヤーの電極間配線化と電気伝導性の評価を共同研究に基づいて進めるとともに、ナノワイヤーの構成成分に基づく電気特性の差異を明らかにし、超分子ナノワイヤーの高効率な配線技術を確立することを目指す。
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Research Products
(4 results)