2014 Fiscal Year Annual Research Report
自発的に生じる電子密度勾配を利用した勾配型分子導線の創製
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Architectonics: Orchestration of Single Molecules for Novel Function |
Project/Area Number |
26110508
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 建(アルブレヒト建) 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (50599561)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デンドリマー / カルバゾール / 電子移動 / 単分子接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では同じモノマーの繰り返しからなるにも関わらず外層にHOMOが、内層にLUMOが局在化してポテンシャル勾配を持つカルバゾールデンドリマーから着想を得て、分子内に自発的に生じるポテンシャル勾配を利用した指向性を持つ分子導線を開発することを目的としている。 本年度は線状のカルバゾールオリゴマーの両端にチオール基を持つ分子の合成を行った。具体的にはメチル基で保護したチオール基を導入したカルバゾールに対してシリル基で保護したアミン部位を有するヨードカルバゾールを銅触媒を用いたN-アリール化反応を用いて結合させた後に脱保護するという一連のプロセスを繰り返すことでチオール基を1つ有する線状カルバゾールオリゴマーを合成した。最後に4-ヨードチオアニソールとのN-アリール化を行ってからメチル基を脱保護することで両端にチオール基を導入した。この分子のDFT計算を行うことで線状カルバゾールオリゴマーであっても一端にHOMOが、逆側の端にLUMOが局在化していることを見出した。今後は合成した分子に関して単分子接合を形成し、伝導度を測定するため領域内の他グループとの連携を予定している。 領域内で2つの共同研究を実際に推進しており、このために必要な分子の合成・提供を行った。また、この他に3つの共同研究を計画中である。 こうした研究について領域会議などで他研究者とディスカッションしており、今後の研究推進に有用なアドバイスも得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた線状カルバゾールオリゴマーの合成に成功し、DFT計算も行った。また、新学術領域内における共同研究も進展しており概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
勾配を有するカルバゾールオリゴマーの単一分子伝導度を測定するとともに整流性の有無を明らかとする。また、カルバゾールのポテンシャル勾配に対してアクセプターを連結した分子を合成し、その光物性を測定することで分子内の電子移動に関する知見を得る。 新学術領域内での共同研究を推進することで領域の発展に資する研究成果を得る。
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