2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子・原子の協働による新しい情報処理システム
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Architectonics: Orchestration of Single Molecules for Novel Function |
Project/Area Number |
26110521
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長谷川 剛 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (50354345)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ電子デバイス / 原子スイッチ / 脳型演算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分子機能を利用した単一原子輸送現象の実現と、それを利用した分子と原子の協働による新しい情報処理システムの開発を行う。具体的には、最近、光機能性分子をスイッチング動作に利用することで、原子単位での金属原子析出の制御が可能であることを示唆する結果が得られていることから、本研究では、1)電位制御による原子単位での析出を実現、続いて、2)分子機能を利用した原子単位での析出と輸送の制御を行う。この分子と原子の協働現象を利用することで、信号の揺らぎやバラツキを積極的に利用して動作するネットワーク型の新しい情報処理システムを構築する。 平成26年度は、ナノ球リソグラフィーにより、固体電解質として硫化銀を用いてナノドットを形成した。同ナノドットに対して走査トンネル顕微鏡を用いて電圧を印加することで、電気化学ポテンシャル制御による原子単位での析出制御の可能性を検証する実験を行った。その結果、直径100ナノメートル、高さ20ナノメートルのナノドットを用いることで、析出可能な原子数が電圧に依存して決まることを確認した。この現象は、リソグラフィーによって容易に形成できる10nm程度のギャップを設けて硫化銀ナノドットと金属電極を配置することで、「綱引きモデル」による選択的なネットワーク形成の実現が期待できることを示しており、次年度以降の研究に弾みが付くこととなった。 さらに今年度は、光導電性分子の伝導度の温度依存性測定を行った。その結果、用いる光導電性分子によっては、数十℃程度の温度上昇で光電流が倍増することが分かった。これは、ジュール熱によって局所的に温度が上昇すれば、光電流が増大することを意味している。この現象を用いると、シナプス結合の選択的増強を実現できる可能性がある。次年度は、これらの成果を基に、分子・原子の協働に基づく素子動作、ネットワーク動作の研究に繋げて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子・原子の協働現象の基本となる動作について、新たな知見も含めて一定の成果が得られた。他の計画班、公募班との連携も進めており、最終目標の達成に向けて、概ね順調に推移していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた知見を基に、分子・原子の協働現象の実現と、その機能化に関する研究を進める。具体的には、分子の伝導性の温度依存性や、析出金属原子数の制限を利用した選択的なネットワーク構築とそのメカニズム解明を進める。
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