レジオネラ菌によるSyntaxin17分解機構とその生理的意義の解明

2014 Fiscal Year Annual Research Report

• Project Area: Multidisciplinary research on autophagy: from molecular mechanisms to disease states
• Project/Area Number: 26111520
• Research Institution: Tokyo University of Pharmacy and Life Science
• Principal Investigator: 新崎 恒平 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (70609990)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: syntaxin17 / レジオネラ / レジオネラエフェクター / オートファジー

Outline of Annual Research Achievements

これまでの研究により、重篤な肺炎を引き起こすレジオネラがSyntaxin17 (Stx17)を分解することを見いだしていたので、本年度はStx17の分解に寄与するレジオネラエフェクターの同定に力を注いだ。
レジオネラは３００種類以上のレジオネラエフェクターを合成するが、その遺伝子はpathogenic islandと呼ばれる遺伝子上に存在する数種類のクラスター（島）に数個毎にコードされている。そして、一つ一つのクラスターを欠損させたレジオネラ変異株が作製されており、当該株を用いることでStx17の分解に関与するレジオネラエフェクターが同定を試みた。
まず、クラスターをほぼ全て欠損させたレジオネラ株と各々のクラスターを欠損させたレジオネラ株の感染がStx17に与える影響を観察したところ、クラスターをほぼ全て欠損させたレジオネラ株と一つのクラスターを欠損させたレジオネラ株の感染はStx17の分解を引き起こせないことを見いだした。この結果は、当該クラスターにStx17の分解に関わるエフェクターがコードされている可能性を示している。そこで、当該クラスターにコードされているレジオネラエフェクター（約２０種類）一つ一つをクローニングし、培養細胞に人口的に発現させたところ、ある一つのエフェタクーの発現においてのみStx17の分解が検出されたことから、Stx17の分解に関与するレジオネラエフェクターの同定には成功した。また、当該エフェクターの機能に関しては今のところ報告がないことから、Stx17の分解に関わる新規のエフェクターである可能性も合わせて見いだした。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題の当初研究目的の達成度をH26年度の研究進捗状況から鑑みると、おおむね順調に進展していると判断した。また、その理由を以下に記載する。
当初の研究目的では、Stx17の分解に寄与するレジオネラエフェクターの同定を第一の目標としていたが、レジオネラエフェクターの遺伝子群をコードするislandの欠損変異体の解析よりStx17を分解するレジオネラエフェクターを一分子までに絞り込むことが出来た。レジオネラエフェクターには３００以上の種類が存在している可能性が示唆されていることから、一つのエフェクターに絞り込む過程において困難が予想されたが、結果的に一分子に絞り込めたことは極めて重要な進歩である。今後、レジオネラによるStx17の分解機構を明らかにする解析が迅速になり、また何故レジオネラはStx17を分解する必要があるのかという問いに対する答えを得るための解析が進む結果となった。

Strategy for Future Research Activity

H27年度以降は、H26年度に同定したレジオネラエフェクターがどのような機構でsyntaxin17を分解してるのかを先ず明らかにする。細胞内でのタンパク質分解にはプロテアーゼ活性とプロテアソーム活性が知られている。よって、syntaxin17の分解がプロテアーゼ依存的かプロテアソーム依存的かを明らかにする。どちらかの活性を同定できた場合、本活性を欠損させたレジオネラエフェクターの変異体を作製する。
syntaxin17はオートファジーに関わることが知られていることから、当該レジオネラエフェクターによるsyntaxin17の分解がオートファジーに与える影響も観察する。その際、当該エフェクターのsyntaxin17分解活性の欠落が与える影響も合わせて解析する。また、当該エフェクターを欠損したレジオネラ株の感染がレジオネラの細胞内感染経路や細胞内増殖に与える影響も合わせて評価する。

Research Products

• [Journal Article] Role for the ancient SNARE syntaxin 17 in regulating mitochondrial division. (2015)
  • Author(s): 1. Arasaki, K., Shimizu, H., Mogari, H., Nishida, N., Hirota, N., Furuno, A., Kudo, Y., Baba, M., Baba, N., Cheng, J., Fujimoto, T., Ishihara, N., Ortiz-Sandoval, C., Barlow, L. D., Raturi, A., Dohmae, N., Wakana, Y., Inoue, H., Tani, K., Dacks, J. B., Simmen, T., and Tagaya, M.
  • Journal Title: Developmental Cell Volume: 32 Pages: 304-317
  • DOI: 10.1016
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] The machinery at endoplasmic reticulum-plasma membrane contact sites contributes to spatial regulation of multiple Legionella effector proteins. (2014)
  • Author(s): 3. Hubber, A., Arasaki, K., Nakatsu, F., Hardiman, C.,Lambright, D., De Camilli, P., Nagai, H., and Roy, C. R.
  • Journal Title: PLoS Pathogens Volume: 10 Pages: e1004222
  • DOI: 10.1371
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Valosin-containing protein-interacting membrane protein (VIMP) links the endoplasmic reticulum with microtubules in concert with cytoskeleton-linking membrane protein (CLIMP)-63. (2014)
  • Author(s): 2. Noda, C*., Kimura, H*., Arasaki, K*., Matsushita, M., Yamamoto, A., Wakana, Y., Inoue, H., and Tagaya, M.
  • Journal Title: Journal of Biologicalchemistery Volume: 289 Pages: 24304-24313
  • DOI: 10.1074
  • Peer Reviewed
• [Presentation] レジオネラ菌感染に関わるRabタンパク質の同定及びレジオネラ菌の小胞体定着化機構 (2015)
  • Author(s): 新崎恒平、川端美緒、加藤郁子、多賀谷光男
  • Organizer: 第88回日本細菌学会総会
  • Place of Presentation: 岐阜
  • Year and Date: 2015-03-26 – 2015-03-28
  • Invited
• [Presentation] レジオネラ菌によるRab5ユビキチン化機構の解明 (2015)
  • Author(s): 川端美緒、加藤郁子、多賀谷光男、新崎恒平
  • Organizer: 第88回日本細菌学会総会
  • Place of Presentation: 岐阜
  • Year and Date: 2015-03-26 – 2015-03-28
• [Presentation] レジオネラ菌は小胞体内での移行にRab4及びRab10を利用する (2015)
  • Author(s): 加藤郁子、川端美緒、新崎恒平、多賀谷光男
  • Organizer: 第88回日本細菌学会総会
  • Place of Presentation: 岐阜
  • Year and Date: 2015-03-26 – 2015-03-28
• [Presentation] レジオネラ菌の宿主小胞体への移行及び定着化の機構 (2014)
  • Author(s): 新崎恒平、川端美緒、野内優、多賀谷光男
  • Organizer: 第87回日本生化学会大会
  • Place of Presentation: 京都
  • Year and Date: 2014-10-15 – 2014-10-18
  • Invited
• [Presentation] PGAM5によるDrp1の脱リン酸化へのSyntaxin17の関与 (2014)
  • Author(s): 須合真士、新崎恒平、堂前直、多賀谷光男
  • Organizer: 第87回日本生化学会大会
  • Place of Presentation: 京都
  • Year and Date: 2014-10-15 – 2014-10-18
• [Presentation] 脂肪滴形成および3T3-L1の脂肪細胞への分化におけるsyntaxin 17の関与 (2014)
  • Author(s): 木村葉那、新崎恒平、茂刈寛史、谷佳津子、多賀谷光男
  • Organizer: 第66回日本細胞生物学会大会
  • Place of Presentation: 奈良
  • Year and Date: 2014-06-11 – 2014-06-13