2014 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経傷害後の脳内環境変化による髄鞘修復の促進
Publicly Offered Research
Project Area | Brain Environment |
Project/Area Number |
26111713
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村松 里衣子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90536880)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オリゴデンドロサイト / 脳 / 脊髄 / レプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な疾患において、脳脊髄の環境は大きく変化する。脳内環境の変化は、病態に影響を与えうるため、その変化を制御することで脳脊髄疾患における症状の緩和を導く可能性がある。脳脊髄疾患における組織学的な変化の一つに、髄鞘の脱落がある。髄鞘は神経細胞の活動の伝達や神経回路の恒常性の維持に重要であるため、髄鞘の修復を促す分子メカニズムは、種々の神経疾患の治療標的分子になりうる可能性を持つ。本課題では個体発生の段階で髄鞘の発達に関わる分子が、成体の髄鞘修復にも関与するか検討している。 本課題では得にレプチンの働きについて注目している。レプチンは、主に脂肪細胞から分泌される分子である。レプチン欠損マウスでは発生期の髄鞘形成に異常があることが知られているが、中枢神経傷害後の髄鞘修復に対するレプチンの役割については不明である。本課題では、レプチンが髄鞘の修復を担うか、検討している。 髄鞘はオリゴデンドロサイトにより形成されるため、培養オリゴデンドロサイトに対するレプチンの働きを検討した。その結果、レプチンには、オリゴデンドロサイトの数を増やす働きがあることが示唆された。レプチンによるオリゴデンドロサイト数の増加の細胞内メカニズムを検討したところ、細胞内のERKの活性化が重要であることが示唆された。次年度は、in vitroで得られた知見がin vivo出の髄鞘修復にも関与するかを、組織学的・行動学的な解析を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レプチンがオリゴデンドロサイトに増殖を促す働きを発見した。また細胞内シグナル伝達機構について網羅的な解析を実施することができた。細胞内シグナル伝達の中でも、ERKの活性化がレプチンによるオリゴデンドロサイトの増殖に大きな役割を果たしていることがわかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、レプチンが髄鞘の修復を促すか、in vivoでの解析を行う。脱髄誘導剤を局所的に処置したマウスを用いて、内在性のオリゴデンドロサイト数の増加および髄鞘修復にレプチンが関与するかを検討する。脱髄部位におけるレプチンおよびレプチン受容体の発現変動についても解析する。レプチンが髄鞘の修復を促すか、治療的な役割についても検討する。レプチン処置マウスにおけるオリゴデンドロサイト細胞数の増加および髄鞘関連タンパク質の発現量増加について、検討する。さらに、脱髄に起因する神経障害が、レプチン処置により緩和するかも検討する。
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