2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト生殖細胞のエピゲノムダイナミクスとその制御機構
Publicly Offered Research
Project Area | Analyses and regulation of germline epigenome |
Project/Area Number |
26112502
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡江 寛明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10582695)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / ヒト生殖細胞 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト初期発生過程におけるDNAメチル化ダイナミクスを、全ゲノムレベルで明らかにすることを目的としている。本年度は、ヒト卵子、精子および胚盤胞の全ゲノムバイサルファイトシークエンシング(WGBS)解析を行い、DNAメチル化状態を詳細に解析した。検体は不妊治療を目的として採取されたもののうち、治療に用いられなかったものを、インフォームドコンセントを得た後に、解析に使用した。各検体より抽出したゲノムDNAより、Post-bisulfite adaptor-tagging (PBAT)法を用いてライブラリーを作製し、次世代シークエンサーを用いてWGBS解析を行った。その結果、ゲノム中の全CpGサイトのうち87~96%について、DNAメチル化率を決定することに成功した。卵子、精子、胚盤胞における平均メチル化率はそれぞれ54、76、 26%と全く異なっており、受精前後でDNAメチル化状態が大きく変化することを見出した。さらに詳細な解析を行い、①雄性ゲノムに比べ、雌性ゲノムの脱メチル化の程度は非常に弱いこと、②ヒトではマウスの2倍以上のインプリンティング制御領域が存在すること、③タンデムリピートを含むトランスポゾンが雄性ゲノムの脱メチル化から特異的に保護されること、④セントロメア領域のメチル化状態がヒトとマウスで大きく異なること、などを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ヒト卵子、精子、胚盤胞のWGBS解析を行った。その結果、DNAメチル化はゲノム全体でダイナミックに変化するものの、その変化の程度は領域によって大きく異なり、インプリンティング制御領域や一部のレトロトランスポゾンがユニークな制御を受けることを明らかにした。さらに、マウスとの相違点も複数見出しており、十分な成果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は着床後のDNAメチル化の変化に着目し、胎児臍帯血および胎盤のWGBS解析を進める。解析結果を生殖細胞や胚盤胞のメチロームデータと比較し、着床に伴う新規メチル化の獲得について解析する。また、新規インプリンティング制御領域の同定も進める。
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[Journal Article] RNA sequencing-based identification of aberrant imprinting in cloned mice.2014
Author(s)
Okae H, Matoba S, Nagashima T, Mizutani E, Inoue K, Ogonuki N, Chiba H, Funayama R, Tanaka S, Yaegashi N, Nakayama K, Sasaki H, Ogura A, Arima T.
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Journal Title
Hum Mol Genet.
Volume: 23
Pages: 992-1001
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Genome-wide analysis of DNA methylation dynamics during early human development.2014
Author(s)
Okae H, Chiba H, Hiura H, Hamada H, Sato A, Utsunomiya T, Kikuchi H, Yoshida H, Tanaka A, Suyama M, Arima T.
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Journal Title
PLOS Genetics.
Volume: 10
Pages: e1004868
Peer Reviewed / Open Access
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