2014 Fiscal Year Annual Research Report
マウス・ゲノム刷り込み制御配列のエピゲノムダイナミクス
Publicly Offered Research
Project Area | Analyses and regulation of germline epigenome |
Project/Area Number |
26112503
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷本 啓司 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90261776)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ゲノム / 発現制御 / エピジェネティクス / ゲノム刷り込み |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの申請者、あるいは他グループの研究結果により、H19-ICR配列の精子における刷り込みメチル化のためには、2.9-kb領域の外側の配列が必要であると考えられた。そこで、まず、外側配列からヒストン修飾(ヘテロクロマチン化に関わるH3K9Me3など)が伝播し、これがDNAメチル化のトリガーとなっていることを想定し、chicken βグロビンHS4配列(cHS4インスレーター)を、内在H19-ICRの両側に挿入したマウスを作製した。同マウスの解析の結果、精子における内在H19-ICRのメチル化が阻害されていた。この結果、本来、野性型のH19-ICRにおいては解析することの出来ない受精後刷り込みメチル化活性の有無を検証する途が開けた。 次に、H19-ICRの周辺領域の転写(他グループからの報告あり)が精子における刷り込みメチル化に関与する可能性について検証するために、転写終結シグナル(polyA signal)を、内在H19-ICRの3'側に挿入したマウスを作製した。同マウスの解析の結果、精子での内在H19-ICRのメチル化は正常に確立したことから、領域の転写は(あったとしても)、内在H19-ICRの精子における受精後刷り込みメチル化には必要ないことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画、あるいは、年度初めの研究実施計画に記した研究目的を順調に遂行し、期待の成果を得ることが出来たため。論文公表も視野に入れたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
H19-ICRの精子におけるメチル化刷り込みの確立メカニズムは未だ明らかにされていない。我々は、平成26年度の成果として、内在H19-ICR配列の両側にクロマチンインスレーター配列を挿入することにより、精子における同反応を阻害できることを明らかにした。同阻害メカニズムをより詳細に解析することにより、確立の分子基盤を明らかに出来る可能性が出てきた。また、同精子における不完全なDNAメチル化状態が、受精後にどうなるのかを調べることにより、内在H19-ICRにおける受精後刷り込みメチル化活性の有無を検証できる途が開けた。平成27年度は、後者について集中的な解析を行うと同時に、H19-ICRの外側から伝播するエピジェネティックなシグナルの実体を明らかにするために、CRISPR-Cas9ゲノム編集システムを用い、内在複数候補配列の欠損とそれらがメチル化刷り込みに及ぼす影響について解析する予定である。
|
Research Products
(7 results)