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2014 Fiscal Year Annual Research Report

多段階発がん過程における細胞競合の関与

Publicly Offered Research

Project AreaRegulation of polarity signaling during morphogenesis, remodeling, and breakdown of epithelial tubular structure
Project/Area Number 26112701
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

昆 俊亮  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (70506641)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords細胞競合 / 多段階発がん / マウスモデル
Outline of Annual Research Achievements

腸上皮細胞にタモキシフェン依存的にKRas変異を導入できるVillin/CreERT;LoxP-Stop-LoxP(LSL)/KRasV12-eGFPマウスを用い、タモキシフェンの投与量を調節することによって、モザイク状にKRas変異を発現誘導するin vivo細胞競合モデルを世界に先駆けて開発した。このマウスを用いた解析の結果、正常細胞に囲まれたKRas変異細胞が管腔側へ排除される様子を観察することに成功した。現在、APC遺伝子に変異をもつAPCminマウスを上記の細胞競合マウスと交雑することによって、多段階の変異蓄積(APC→KRas)によって、細胞競合による変異細胞の排除機構に影響があるか現在解析中である。
ヒトがんの中で最も高頻度に見られる遺伝子異常であるTP53遺伝子にミスセンス変異を有する変異細胞と正常細胞との細胞競合実験を行った。その結果、p53変異細胞を単独培養したときには何も異常は認められなかったが、正常細胞と混合培養したときにはp53変異細胞の細胞死が顕著に誘導され基底膜側へと逸脱することを突き止めた。このことから、p53変異細胞の細胞死は周辺正常細胞の存在を要する細胞非自律的な事象であることが示された。さらには、その細胞死プログラムをより詳細に検討した結果、古典的なアポトーシスとは異なるネクロプトーシス様細胞死によりp53変異細胞は細胞死に至ることが分かった。さらに、恒常活性化型Rasを発現する細胞群にp53変異をモザイク状に誘導すると、細胞死が顕著に抑制された。この結果より、Ras/p53二重変異細胞は細胞競合による排除圧に対して抵抗性を獲得することが現在までに分かっている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

in vitro細胞競合モデルシステムとして、イヌ腎上皮由来のMDCK細胞を用いてこれまで研究を行ってきた。平成26年度には、あらたにヒト正常膵上皮細胞HPDE6を用いて異種薬剤添加による2段階変異誘導制御(組み合わせ/順序の変更も可能)を可能とする多段階変異誘導性ヒト上皮細胞株の樹立を目指した。そこでまず始めに、テトラサイクリン誘導性に恒常活性化型Rasを発現できる細胞株の樹立を試みたが、そのようなクローンを得ることが出来なかった。現在は、HPDE6細胞に代わるヒト由来正常上皮細胞の使用を検討している。
現在解析を行っている細胞競合モデルマウスは腸上皮にモザイク状にRas変異を誘導できる。このマウスモデルに加え、膵上皮特異的に変異を導入することが可能なPdx/CreERTマウスの導入を研究計画当初考えたが、Pdx分子は膵上皮細胞の分化過程において広範に発現する。そこで、分化した膵導管細胞特異的なプロモーターを用いたCK-19/CreERTマウスを東京大学消化器内科病態栄養治療部の伊地知秀明准教授より譲渡していただき、現在交配中である。
生体内でおこるRas変異細胞と周囲正常細胞との細胞競合現象を捉えるため、ex vivoモデルではスピニングディスクを搭載した共焦点顕微鏡により観察を試みた。スピニングディスク型の共焦点顕微鏡はレーザーによるダメージを大幅に軽減できるため、24時間を超える長時間のタイムラプス観察が可能となり、実際にRas変異細胞が排除される様子をモニタリングすることに成功した。

Strategy for Future Research Activity

マウス腸上皮よりRas変異細胞が排除される様子を二光子顕微鏡を用いてリアルタイム観察に挑戦する。このため、生体内イメージングの高度専門家である大阪大学医学部石井優教授と共同実験を進める。またp53変異細胞と正常細胞との細胞競合マウスモデルを新たに開発する。そのために、cre依存的にp53変異を誘導でき、かつGFPにより変異細胞を追跡できるノックインマウスの作成にあたる。このマウスモデルを用いて、細胞競合によりp53変異細胞が生体内でも細胞死するかどうか検証を行う。また、APC遺伝子に変異を有するAPCminマウスを導入することにより、多段階の変異蓄積(APC→KRasもしくはAPC→p53)によって、細胞競合による変異細胞の排除機構に影響があるかマウスモデルで検証を行う予定である。並行して、細胞培養系においても同様の多段階で変異が蓄積する系を構築し、細胞競合の挙動に変化が認められた場合、その分子機構の解明に努める。

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Published: 2016-06-01  

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