2014 Fiscal Year Annual Research Report
マウス及びヒト発生期腎臓における管腔上皮形成機構と破綻
Publicly Offered Research
Project Area | Regulation of polarity signaling during morphogenesis, remodeling, and breakdown of epithelial tubular structure |
Project/Area Number |
26112716
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西中村 隆一 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (70291309)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腎臓発生 / 細胞骨格 / ミオシン |
Outline of Annual Research Achievements |
腎臓は後腎間葉と尿管芽という2つの組織の相互作用によって発生する。間葉は上皮化して管腔を形成し(間葉上皮転換)、複雑な形態変化を経て糸球体と尿細管からなる一続きの機能単位すなわちネフロンを形成する。本計画は、マウスのネフロン形成における細胞骨格系の機能を解明するとともに、新たに開発したヒトiPS細胞からのネフロン誘導法を用いてヒト腎疾患の病態解明に貢献することを目的とした。 1. マウスのネフロン形成における細胞骨格系の機能解明 後腎間葉特異的な非筋肉型ミオシンIIのノックアウトマウス(Myh9/10 二重ノックアウト)を作成したところ、生直後に死亡することを見出した。ノックアウトマウスでは、間葉上皮転換後の未熟なネフロンの管腔伸長が阻害されて細胞死を起こしていた。さらにネフロン前駆細胞の接着が低下し、出生時の前駆細胞数も減少した。したがって非筋肉型ミオシンIIは未熟なネフロンの形態形成及び前駆細胞の維持に必須であることが明らかになった。一方Myh9の単独欠失マウスでは近位尿細管が拡張して、生後に腎不全を呈した。一方、ヒトMyh9の遺伝性変異疾患においては、尿細管の拡張ではなく糸球体硬化病変が認められることが知られている。この違いの原因を解くには、やはりヒトの腎臓でミオシンの機能を解析する必要がある。 2. Myh9変異患者由来のiPS細胞樹立とネフロン誘導 我々は2014年初頭にヒトiPS細胞から立体構造をもったネフロンを誘導することに成功した。そこでMyh9変異をもつ患者から血液を採取し、センダイウイルスベクターでiPS細胞を樹立した。樹立後、未分化マーカーで質を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自動染色装置の故障によって、腎臓上皮の異常同定に遅れがでた。幸い数ヶ月でより感度の高い状態に回復させることができた。一方Myh9変異患者からのiPS細胞は、最初に作成した数クローンの融解後の生存率が悪く、他のクローンを検討することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
未熟なネフロンの伸長障害の原因を同定する。また種による違いを検討するため、ヒトMyh9変異と同じタイプの変異を持つマウスを入手し、解析する。iPS細胞に関しては、多くのクローンを分化させ検討することを計画している。
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