2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物の発生を支えるmicroRNAネットワークの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Multidimensional Exploration of Logics of Plant Development |
Project/Area Number |
26113504
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱田 隆宏 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (20452534)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ゼニゴケ / シロイヌナズナ / 植物 / microRNA / tudorドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
microRNAは相補的な配列を有するtarget mRNAの分解や翻訳抑制を通じてmRNAの転写後制御に関わる分子である。本研究では植物の発生に働く転写因子群を制御する主要miRNAネットワークをゼニゴケとシロイヌナズナを用いて明らかにすることを目的とする。 ゼニゴケを用いた研究として、ゼニゴケのsmall RNAを次世代シーケンサーにより解析した。その結果、8種類の陸上植物に保存されたmiRNAを同定した。さらに双子葉植物や単子葉植物、ヒメツリガネゴケでは報告されていないゼニゴケ特有のmiRNAを239種類同定した。次に陸上植物に保存された8種類の主要miRNAの過剰発現体を作出した。これらの過剰発現体は異常な形態を示し、ゼニゴケにおいてこれらのmiRNAが機能していることが示唆された。またmiRNA機能阻害型RNAの過剰発現体の作出も試みたが、機能阻害された植物体は得られなかった。 シロイヌナズナを用いた研究として、tudor (TD)タンパク質の機能解析を行った。TDタンパク質を欠失したT-DNA 挿入変異体は植物体の矮小化、花成促進、種子形成異常などを引き起こす。またGFP抗体を用いた免疫沈降実験によりTDタンパク質はAGO1やヒストンと結合することが示唆されていた。今年度はGFP融合TDタンパク質をnativeプロモーター下で発現させてイメージング解析を行い、TDタンパク質が核と細胞質顆粒に存在することを明らかにした。さらにTD-GFPとAGO1-GFPを用いた免疫沈降サンプルの主要miRNAをノーザンブロッティングで比較し、TDとAGO1に結合する主要miRNAの種類や量に大きな差がないことを明らかにした。さらにTD変異体を用いてマイクロアレイ解析を行い、TD変異体においてmiRNA よりもsiRNAのターゲットmRNAが大きく変動していることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼニゴケにおける解析では次世代シーケンサーによる解析により、ゼニゴケのsmall RNAの全容を明らかにすることができ、成果が得られている。また異常な形態を示した8種類の主要miRNAの過剰発現体が作出できており、今後の解析によりゼニゴケのmicroRNAネットワークの解析が可能である。一方、miRNA機能阻害型RNAの過剰発現体は作成できていないことに関しては、様々な原因が考えられるため、解決するかどうかは不明である。シロイヌナズナにおける解析ではTDタンパク質の解析が順調に進んでおり、その機能が明らかになりつつある。これらの結果を総括し、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ゼニゴケで作出した8種類の主要miRNAの過剰発現体においてmRNAの増減を調べ、遺伝子冗長性が低いゼニゴケの特性を活かしたmicroRNAネットワークの解明を行う。さらに異常な形態が生じた原因を調べるために、発生過程の詳細な観察を行う。シロイヌナズナに関してはTDタンパク質の機能解析を更に進める。具体的にはTD 変異体におけるsmall RNA の種類や量、ヒストンやDNAのメチル化度合いの解析などを行う。
|