2014 Fiscal Year Annual Research Report
オーキシン極性輸送に関する理論的・実験的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Multidimensional Exploration of Logics of Plant Development |
Project/Area Number |
26113513
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
古谷 将彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 准教授 (10432593)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コンピューターシュミレーション / FRETバイオセンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
理論的研究においては、オーキシン極性輸送の数理モデルの構築および単純なコンピューターシュミレーションを行った。一次元数理モデルを構築しコンピューターシュミレーションを行ったところ、植物体内でみられるPIN極性の配向を再現することに成功した。さらに二次元への展開を試みたところ、PIN極性形成の再現に成功し数理モデルの有効性を示すことができた。 実験的研究においては、数理モデルの仮定の一つになっている細胞内オーキシンの不等分布を立証するために、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した新たなオーキシンバイオセンサーの構築を行った。オーキシン受容体TIR1/AFBとリガンドAux/IAAのオーキシン依存的な相互作用を利用した1分子FRETバイオセンサーを作成した。バイオセンサーを培養細胞において一過的に発現させ、オーキシンの有無によりドナーの蛍光寿命の減少に差がみられるかを確認した。蛍光寿命画像を取得したところ、オーキシン投与により培養細胞の中心付近において蛍光寿命の大きな減少が確認された。一方で、細胞膜付近ではバイオセンサーの蛍光寿命に大きな変化はみられなかった。これらのことから、細胞中央付近において期待通りにオーキシンバイオセンサーとして働くことが明らかとなった。次に、NPH3様蛋白質MAB4の機能を明らかにするため、MAB4と相互作用しPINをリン酸化するSer/ThrキナーゼPINOID (PID)について機能解析を進めた。pid変異体およびPID過剰発現体においてPINの局在解析を行ったところこれまでの報告とは異なる結果が得られ、PIDの機能について再考する必要性が出てきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的研究に関しては計画通り順調に進展している。実験的研究に関しては、平成26年度において細胞内オーキシンを可視化するFRETバイオセンサーの構築完了を予定していたが、少し遅れがみられる。しかし、オーキシンに応答するFRETバイオセンサーの構築には成功しており、今後はより精度高く検出するオーキシンバイオセンサーの作成が期待できる。現在レセプターやリガンドの検討や変異導入によりFRET効率を高める試みを行っており、今年度の早い段階で細胞内オーキシンを可視化できるFRETバイオセンサーの構築完了を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
二次元数理モデルにおいて植物体内のPIN極性形成場の状況に合うように初期条件を設定し、コンピューターシュミレーションによりPIN極性形成過程を再現することを目指す。また、オーキシンFRETバイオセンサーを植物体に導入し、細胞内オーキシンの不等分布を蛍光寿命測定法により確認する。これらの理論的および実験的研究の成果をまとめ論文として発表する。PIN極性形成を制御する分子機構に関してPIDの機能解析を今後も進めていくとともに、その他のPIN極性形成制御因子ABP1とMAB4およびPIDの関係についても明らかにしていく。
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Research Products
(7 results)