2014 Fiscal Year Annual Research Report
一細胞遺伝子発現解析を用いたステム・ニッチ形成機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Multidimensional Exploration of Logics of Plant Development |
Project/Area Number |
26113514
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
久保 稔 奈良先端科学技術大学院大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30342778)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一細胞解析 / リプログラミング / 次世代シークエンシング / トランスクリプトーム / 幹細胞 / 分化転換 / 細胞間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では植物の持つ高い再生能力の仕組みを明らかにするために、分化した細胞から幹(ステム)細胞を生じるリプログラミング過程において一細胞ごとの遺伝子発現解析を行うことを目的としている。そのために平成26年度は、切断した葉が容易に幹細胞にリプログラミングし、陸上植物と80%以上の発生過程に関わる遺伝子が保存されているヒメツリガネゴケを用いて1.生きた葉細胞からのマイクロキャピラリーを用いた細胞液抽出法の確立、2.微量植物サンプルからのcDNAライブラリーの作成法の検討、3.次世代シークエンサーによる一細胞レベルでの網羅的遺伝子発現解析という3つの課題について研究を行った。1については細胞核を可視化することで効率よく1細胞のRNAを抽出することが可能となった。2についてはcDNAを増幅する酵素の種類と不要な副産物の除去法を検討した。3については1細胞相当のRNAから次世代シークエンサーによる解析を行い、すでに1葉細胞からのサンプリングも進めている。それぞれの課題について全て順当な成果が得られ、次年度以降に行う一細胞遺伝子発現解析を用いたステム形成因子の同定とリプログラミング過程におけるステム・ニッチ相互作用の解析ための充分な準備ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画で掲げた3つの課題について研究を遂行した。 1. 生きた葉細胞からのマイクロキャピラリーを用いた細胞液抽出法の確立:一細胞遺伝子発現解析の材料であるヒメツリガネゴケ茎葉体の育成とリプログラミング実験における切断葉の培養を新規購入した温度・光量・湿度調整機能付き人工気象器で行うことで、再現性の高い条件を設定することができた。マイクロキャピラリーを用いて効率的に細胞液を抽出する条件の検討を行い、適切な実験条件が設定できた。 2. 微量植物サンプルからのcDNAライブラリーの作成法の検討:次世代シークエンサーを用いて一細胞遺伝子発現解析に適したcDNAライブラリー作成に必要な実験の新規導入と条件検討を行い、全ての検証点において理想的な条件を確立した。 3. 次世代シークエンサーによる一細胞レベルでの網羅的遺伝子発現解析:ヒメツリガネゴケ原糸体から調整した RNAを用いて一細胞含有量相当に希釈したサンプルからcDNAを合成し、次世代シークエンサーによる配列決定を行った。得られた配列情報を一細胞遺伝子発現解析に適したデータ量に変換する手法を確立した。この結果を元に遺伝子発現解析系の評価を行った。さらにヒメツリガネゴケ切断葉において切断直後(0h)と24時間後(24h)の一細胞から葉細胞液を抽出し、cDNAライブラリーの調整を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒメツリガネゴケ切断葉の切断直後(0h)と 24 時間後(24h)の一細胞サンプルにおいて次世代シーケンシングを行い、統計処理、階層クラスタリングや主成分分析を行うことにより、一細胞遺伝子発現解析手法を確立する。また、孤立化させた一葉細胞リプログラミング系を用いたステム形成因子の同定、切断葉リプログラミング過程におけるステム・ニッチ相互作用の解析を随時行う。
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