2014 Fiscal Year Annual Research Report
ETTIN 遺伝子を基軸とした葉形成制御における細胞分化と分裂のロジックス
Publicly Offered Research
Project Area | Multidimensional Exploration of Logics of Plant Development |
Project/Area Number |
26113519
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
小島 晶子 中部大学, 応用生物学部, 講師 (10340209)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 植物 / マイクロアレイ / 発現制御 / サイトカイニン / 葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
シロイヌナズナのASYMMETRIC LEAVES1 (AS1), AS2(核タンパク質遺伝子)は、初期葉原基で背軸側分化に関わる転写因子ETTIN (ETT)/ARF3の発現を抑制して、葉の向軸側(表側)細胞分化の確立に関わる。私たちはマイクロアレイデータ解析と発現解析により、ETTの下流でサイトカイニン合成酵素遺伝子ISOPENTENYLTRANSFERASE3 (AtIPT3)とCDK阻害タンパク遺伝子KRP2, KRP5の転写レベルが上昇することを見いだした。 本研究では、ETTによる下流遺伝子制御の分子機構、下流因子の機能解析と茎頂部でのサイトカイニン応答に関する研究を行い、細胞周期と細胞分化を介した葉の発生の分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。 27年度は理研榊原均博士との共同研究により野生型と種々の変異体の茎頂メリステムとその周辺部のサイトカイニンを測定した結果、葉の表側の細胞が十分に分化しない as2 eal 二重変異体では、実際に活性型サイトカイニンの量が野生型より増加していた。また正常なETT遺伝子がない場合は、葉の裏側化とサイトカイニンの増加とは抑えられた。従って ETT の発現量、 AtIPT3 の発現量と内性サイトカイニン量には正の相関があることがわかった。さらに遺伝解析の結果、atipt3 とkrp5 変異は、それぞれ as2-1 の葉の表現型を部分的に抑圧した。従って、KRP5とAtIPT3が少なくともAS1・AS2-ETT を介した正常な葉の形成に部分的に関与することを示す重要な結果が得られた。 今後の解析に向けて、メリステム付近での実際のサイトカイニン応答を可視化するため、レポーター遺伝子を持つ変異体も作製した。また、公開データベースを用いて様々な種のAS2ドメインをもつタンパク質をコードする遺伝子について、系統解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、茎頂メリステム付近におけるサイトカイニンの量と ETTの発現量、AtIPT3の発現量と内性サイトカイニン量には正の相関があることが明らかとなった。第二に、遺伝解析により KRP5とAtIPT3が AS1・AS2-ETTを介した正常な葉の形成に関与することを示す重要な結果が得られた。これは本研究テーマの仮説を指示するものであった。第三に次年度へむけた研究材料を作製できた。第四にAS2ドメインをもつタンパク質において系統解析を行った。 AtIPT3とKRP5がETTの直接の標的か検証する研究については、現在解析中であり、まだ結果は得られていないが、それ以外の研究では当初予定していたことは達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)葉の分化とサイトカイニン合成制御の関係の研究に関して、本年度はas2 eal 変異体にatipt3変異を導入した系統を解析し、葉の向背軸性の確立へ与える影響を評価する。また、茎頂部におけるAtIPT3 発現部位とサイトカイニン応答部位を可視化するため、AtIPT3::GUSとTCS new::GFP をもつシロイヌナズナを観察し、サイトカイニンが葉の分化に与える影響を研究する。 (2) 細胞周期進行抑制に関わるKRP5 の遺伝解析により、krp5もas2の表現型を部分的に抑圧したことから、as2 atipt3 krp5 三重変異体を作製し、AtIPT3とKRP5が関わる経路の関係を明らかにする。さらにas2の向背軸性確立を阻害する低分子化合物を投与する、あるいは遺伝解析により、AtIPT3とKRP5が葉の向背軸性の確立に与える影響を評価する。 (3) ETT が、AtIPT3とKRP5遺伝子を直接または間接的に制御するかを調べるため、低分子 RNA による制御を受けない変異型 ETT (mETT)にグルココルチコイド受容体 (GR) を融合したタンパク質 (mETT-GR) をコードする遺伝子を持つ植物体を用いて、デキサメタゾン(DEX)によりmETT-GRの核への移行を誘導し、シクロヘキシミド存在下で下流遺伝子の発現が誘導されるかを調べる。 (4) 現在公開されている種々のデータベースを用いて様々な植物種のAS2/LOBファミリーを比較し、AS2ドメインタンパク質の系統関係を明らかにする(ゼニゴケの配列解析については支援班との共同研究として行う)。
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Research Products
(16 results)