2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物免疫とF1壊死の多様性構築の基礎となるR遺伝子への新規変異導入現象の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Correlative gene system: establishing next-generation genetics |
Project/Area Number |
26113707
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
打田 直行 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 准教授 (40467692)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | R遺伝子 / ゲノム / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物のRタンパク質群は病原因子由来の物質を認識して免疫反応を引き起こすが、各々のRタンパク質は特異的な因子しか認識せず、ゲノムに有限個のR遺伝子しか存在しないので、新たな病原因子には新たなR遺伝子が生まれない限り対応できない。しかし、R遺伝子の多様化メカニズムの知見は少ない。また、種内外の異系統間のF1個体で親の組み合わせにより起こる壊死現象にR遺伝子が関わるケースが存在し、R遺伝子の変化はF1交雑の適合・不適合の変化にも関わる。本研究では、R遺伝子の多様化現象に実験科学的に迫るユニークな系を発見したことを受け、上記の現象について実験科学的な知見を得ることを目指している。 これまでに、免疫反応が恒常的に活性化しているuni-1D変異体では、R遺伝子の一つであるUNI遺伝子で高頻度に変異が起こることを見出し、この現象を1世代で簡便に検出する系を確立した。この変異の高頻度化には免疫の活性化が関わっていた。そこで次に、uni-1D変異体ではUNI遺伝子以外で起こる変異現象にも変化が生じている可能性を考え、自発的に生まれる新生SNPのゲノムワイドな解析に着手した。背景を画一にするため単一のuni-1D変異体個体に由来する野生型とuni-1D変異体を準備した後、これらの株から独立に派生した系譜として5世代を経たラインを複数確立し、これらのラインのゲノムに蓄積した新生SNPを次世代シークエンサーにより解析した。その結果、今回のように生殖細胞を経て遺伝する変異飲みを対象にすると、uni-1D変異体で導入される新生SNPの特報は野生型と異ならないことが明らかとなった。そこで今後は、植物体の体細胞それぞれに別個に導入される変異を効率よくモニターするための次世代シークエンサーを用いた方法論の開発を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたゲノム全体を対象にした解析が順調に進み、次年度へ向けた方針も定まったことから、概ね順調な達成段階にあると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析手法では、将来的に茎になる細胞で起こるUNI遺伝子の機能欠失型変異しか捉えられない、という欠点が存在した。そこで次年度は、植物体内の多数の体細胞のそれぞれに別個に導入される変異を、変異の内容(機能獲得、機能欠失、アミノ酸の変化を伴わない変異)を問わずにモニターできる新しい方法論の開発を行う。これらの作業を順調に進めるために、バイオインフォマティクスに長けた研究者との共同での解析を進めることを考えており、そのための打ち合せを進めている。
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Research Products
(7 results)