2014 Fiscal Year Annual Research Report
セントロメア再編の分子メカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
26114711
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 拓郎 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20324866)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 染色体再編 / セントロメア / 相同組換え / 分裂酵母 / Rad51 / リピート配列 / キネトコア / ヘテロクロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体腕部とは異なり、セントロメアではRad51非依存的組換えが抑制されている。しかし、DNAポリメラーゼや複製フォークのアクセサリー因子の変異によって、セントロメアでもRad51非依存的だがRad52には依存した組換えが起きることを明らかにした。これらの結果から、Rad51非依存的なRad52独自の活性(恐らくsingle-strand annealing活性)の阻害が染色体再編の抑制に重要であると考えられる(論文投稿準備中)。 染色体腕部に比べてセントロメアでは交叉型組換えが抑制される。CENP-SX (MHF1,2)ダイマーを複製中間体などのDNA構造に結合してFANCM (Fml1)ヘリケースをリクルートする。分裂酵母の解析から、CENP-SXとFANCMがセントロメアで機能することで、この領域の交叉型組換え、更には、染色体再編が抑制されることが分かった(論文投稿準備中)。 DNAダメージチェックポイント制御に重要な9-1-1クランプはセントロメアでの染色体再編を抑制する。そこで、9-1-1クランプがセントロメア・リピート間の組換えに関与する可能性が考えられた。そこで、ade6B/ade6Xヘテロアリルをセントロメアに導入して、それらの間での自然発生的な組換え頻度を測定した。その結果、9-1-1クランプはセントロメア・リピート間での組換えには関与しないことが分かった(論文発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rad51など相同組換えに関わる遺伝子異常を持つ細胞は、染色体再編gross chromosomal rearrangement (GCR)が高頻度で起こる結果、ガン化するリスクが高い。しかし、このときGCRがどのようなメカニズムで起きるのかは明らかとなっていない。そこで、我々は分裂酵母を用いてGCRに必要な遺伝子の同定を目指した。そして、GCR関連遺伝子を複数同定することに成功した。 分裂酵母セントロメアは逆向きリピート配列により構成される。rad51破壊株では、セントロメア・リピートを介したGCRが起こり、左右の染色体腕が同一、鏡像関係となった同腕染色体が形成される。Break-induced replication (BIR)と呼ばれる「異常な組換え」により同腕染色体が形成される可能性がある。しかし、驚いたことにBIRに働くDNAポリメラーゼδのサブユニットCdc27/Pol32やCdm1はGCRに必要でなかった。 ヘリケースとE3リガーゼドメインを持つRad8(分裂酵母Rad5、ヒトHLTF)はPCNAのユビキチン化を介して複製後修復(post-replication repair)に働く。また、相同組換えの初期反応であるDループ形成能を持つ。興味深いことに、rad51破壊株で起きるGCRにRad8が必要であった。また、rad8破壊により同腕染色体が減少し、染色体腕の欠失が増加した。 亜硝酸処理によりrad51破壊株にランダム変異を導入し、GCR頻度が低下するクローンを選択した。このスクリーニングで得られた新規変異株からゲノムDNAを調製し、その塩基配列を次世代シークエンスにより決定、解析した。次に、同定した遺伝子変異を新たに作成することでGCRの原因遺伝子を決定した。これまでに、GCRに必要な遺伝子を2つ同定することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析から、GCRに必要な因子Factors of centromere rearrangement (FOC)を複数同定することに成功した。そこで、今後はこれら因子がどのように機能することでGCRを起こすのかを明らかにしたい。 Rad8のE3リガーゼあるいはヘリケースの活性のどちらが重要であるのかを区別するために、それぞれの触媒活性に必須なアミノ酸を変異してGCR頻度を測定する。同様の解析を新規同定したFOCにも行うことでGCRに必要な機能ドメインを同定する。 これらのFOCはセントロメアに局在して直接GCRに関与する可能性がある。このことを検証するために、FlagやGFPタグなどを付加してFOCの染色体結合と核内局在を調べる。その際、どのドメインが局在に重要であるのかを明らかにする。 FOCが複製中間体や組換え中間体に作用することで、GCRを促進する可能性がある。そこで、遺伝子破壊株や上述のドメイン変異株を用いて、二次元ゲル電気泳動を行うことでセントロメア領域の複製や組換え中間体を解析する。 大腸菌や酵母細胞を用いて、FOC蛋白質を精製し、DNA結合能やDループ形成能などについて解析する。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] The DNA damage checkpoint pathway promotes extensive resection and nucleotide synthesis to facilitate homologous recombination repair and genome stability in fission yeast.2014
Author(s)
Blaikley EJ, Tinline-Purvis H, Kasparek TR, Marguerat S, Sarkar S, Hulme L, Hussey S, Wee BY, Deegan RS, Walker CA, Pai CC, Bahler J, Nakagawa T, Humphrey TC.
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Journal Title
Nucleic Acids Research
Volume: 42
Pages: 5644-5656
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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