2014 Fiscal Year Annual Research Report
記憶の多様な形成と再形成を実現するセル・アセンブリの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Principles of memory dynamism elucidated from a diversity of learning systems |
Project/Area Number |
26115513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 芳雄 京都大学, 文学研究科, 教授 (60153962)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セル・アセンブリ / 記憶 / ニューロン / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は記憶課題とそこで用いる刺激等のパラメーターを最終的に決定した。具体的な成果は下記のとおりである。 (1)課題の装置は、直径16ミリの穴へのノーズポーク(鼻先の差し込み)を反応として検出するオペラントボックスを用い、刺激はボックス上の広角スピーカーより提示する音刺激を用いることにした。(2) 記憶課題は、周波数の異なる2種類の音と左右2箇所の穴との対応を記憶する条件性弁別課題にした。(3)予備的訓練の結果、1日120試行訓練し3日ほどで正反応率80%以上となることがわかった。(4) 記憶課題Ⅰを学習した後、新たな周波数を持つ2種類の音を用いた記憶課題Ⅱを訓練すると、やはり3日ほどの訓練で学習できることが明らかになった。 また、マルチニューロン活動記録法も改良した。具体的な成果は下記のとおりである。 (1)局所的な集団を構成している多数の神経細胞の活動をもれなく検出するため、専用の特殊電極(ドデカトロード(Takahashi & Sakurai, 2005)をさらに改良した。直径12.5ミクロンの絶縁されたタングステンワイヤーを12本、ポリエチレングリコールで固めることで、フローティング電極として長期間の記録が可能となることがわかった。(2)それらドデカトロードを複数本操作し、さらに異なる脳部位にそれぞれ配置できるような可動型電極制御装置を作製した。(3)さらにより長期間の記録のため、頭蓋骨上の固定用ネジをポリカーボネイト樹脂に変更した。 以上の準備を整えたことで、ラットが複数の記憶課題を連続して学習していく際のマルチニューロン活動を、海馬と前頭前野から記録し始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり記憶課題を最終的に決定できたこと、また予備的な訓練により、ラットがそれらを数日間で学習できることがわかったことで、当初の実験計画を進める準備が完了した。さらにマルチニューロン活動記録法の改良にも成功したことで、ラットが複数の記憶課題を連続して学習していく際のマルチニューロン活動を、海馬と前頭前野から記録することを開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットが複数の記憶課題を連続して学習していく際のマルチニューロン活動を、海馬と前頭前野から記録しデータを集める。また、データ解析法の改良にも取り組み、セル・アセンブリを構成する神経細胞間の機能的結合を、神経細胞集団の同期発火に基づき、より正確かつ迅速に検出する方法を開発する。他の班員とも協力することで、多数の神経細胞間のつながりを視覚化し、セル・アセンブリの全体像とその動作を表せる方法を、自己組織化地図(self-organizing map)や最新統計学の応用により確立する。
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