2014 Fiscal Year Annual Research Report
長期記憶の不安定化を司る分子メカニズムと神経基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Principles of memory dynamism elucidated from a diversity of learning systems |
Project/Area Number |
26115514
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 恭敬 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40580121)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 長期記憶 / 記憶の不安定化 / 転写因子 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
学習で獲得した長期記憶は刻々と変化する環境に適応するため、修飾され、ときには消去される必要がある。このような長期記憶の不安定化の現象は知られているが、そのメカニズムは不明である。私はショウジョウバエをモデル生物として用い、転写因子であるCREB/CRTCが長期記憶の不安定化に重要な役割を果たしていることを見出していた。CREB/CRTC の標的遺伝子を同定すれば、記憶の不安定化機序の解明に結びつくと考えられる。しかしながらCREB/CRTCは代謝組織でも機能することが知られており、記憶中枢におけるCREB/CRTC標的遺伝子を同定することが望まれた。そこで平成26年度は、私の開発したショウジョウバエ記憶中枢神経を単離する手法を用い、記憶中枢神経におけるCREB/CRTC標的遺伝子をクロマチン免疫沈降法により同定した。CREB/CRTC標的遺伝子として1000を超える遺伝子が見つかり、標的の絞り込みが必要であった。そのため、これまでに解析していたエピジェネティック修飾と共局在する遺伝子を見たところ、728遺伝子に絞られた。現在、ショウジョウバエで確立されている網羅的RNAi系統を活用し、個々の標的遺伝子を記憶中枢神経でノックダウンし、記憶の不安定化因子の同定するためのスクリーニングを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、長期記憶の不安定化に関わるCREB/CRTCの標的遺伝子を同定し、今まで謎であった記憶の不安定化の分子メカニズムを明らかにすることを1つ目の目標としている。また、長期記憶の不安定化を誘導する神経基盤を詳細に検討することを2つ目の目標として掲げていた。当初計画通り、平成26年度はCREB/CRTC標的遺伝子を、記憶中枢神経を単離する手法を用いたクロマチン免疫沈降法により同定した。順調に計画を遂行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、平成26年度に同定した遺伝子の中から、記憶の不安定化に関わる遺伝子を網羅的RNAi系統を用いてスクリーニングする。その後、神経ネットワーク内での発現を解析し、またそれらの神経生理機能を追及することにより、記憶の不安定化に関わる未知の神経生理変化を提案できるだろう。平成27年度はさらに、記憶の不安定化を誘導する神経基盤の解明に取り掛かる。
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