2014 Fiscal Year Annual Research Report
報酬に基づく学習記憶ダイナミズムの高次制御機構
Publicly Offered Research
Project Area | Principles of memory dynamism elucidated from a diversity of learning systems |
Project/Area Number |
26115528
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
小川 正晃 生理学研究所, 発達生理学研究系, 特任助教 (00716186)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 学習 / 報酬 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的に遺伝子改変に用いられるC57BL/6マウス系統にて、2種の条件刺激と報酬あり、もしくはなしの関係をまず学習させ、その関係を後に逆転するパブロフ型の逆転学習を確立した。マウスの前頭前野の一部である眼窩前頭皮質にウイルスを用いて、赤色反応性の活動抑制分子を発現し、赤色光照射によってミリ秒~秒単位で眼窩前頭皮質の活動を可逆的に抑制できることを確認した。次に、刺激ー報酬の間の関係がはじめて逆転する日において、それまでは報酬と条件づけされていたが、新たに報酬なしと条件づけされた刺激の提示中、もしくはその後の報酬が提示されなくなるタイミング特異的に、眼窩前頭皮質の活動を抑制したところ、その刺激に対する行動に大きな影響がなかったものの、次の、新たに報酬と条件づけされた刺激に対する反応行動が、それぞれ、上昇、抑制された。 従来の研究では、刺激ー報酬間関係の柔軟な学習が必要とされる状況において、タイミング特異的な眼窩前頭皮質の役割は明らかになっていない。よって、結果は眼窩前頭皮質の正確な役割の理解に貢献するものといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
刺激ー報酬間の学習記憶に基づく柔軟な行動変化に対する眼窩前頭皮質のタイミング、およびコンテキスト特異的について明らかにしているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
刺激ー報酬間の学習記憶に基づく柔軟な行動変化に対する眼窩前頭皮質のタイミング、およびコンテキスト特異的役割の詳細について明らかにする。たとえば、逆転学習時の眼窩前頭皮質の機能阻害の効果が、以前のトレーニングの記憶に依存する度合いを調べるような条件を検討する。また、神経回路特異的な役割についても検討する。
|