2014 Fiscal Year Annual Research Report
細菌の走性における数的多様性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Spying minority in biological phenomena -Toward bridging dynamics between individual and ensemble processes- |
Project/Area Number |
26115706
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 圭一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90467001)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ロドプシン / Cheタンパク質 / 一分子測定 / 全反射蛍光顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では細菌の走光性に関わる光受容体である、センサリーロドプシン(SR)-トランスデューサータンパク質(Htr)複合体と、Cheタンパク質の間の信号伝達過程を一分子観察し、光信号の増幅過程を定量的に明らかにすることを目的とする。そして今年度は主に観察のための顕微システムの構築を行った。今研究では二種類のセンサリーロドプシン、すなわち正の走光性に関わるセンサリーロドプシンI(SRI)と負の走光性に関わるセンサリーロドプシンⅡ(SRII)の間の比較を行い、これら2つの走光性のセンサータンパク質の間でどの様に信号伝達過程が異なるのか、その多様性を調べることを目的の一つとするが、それぞれの分子は吸収する光の波長が大きく異なるため、光励起と蛍光検出の波長を大きく切り替える必要がある。そこで新たに561 nmと647 nmの二つの半導体レーザーの励起光を導入することが可能な、波長切替式の投光管をメーカーと共にデザインし、観察用の顕微鏡に導入した。そうしたところ両方の励起波長において明瞭な一分子像を得ることに成功した。 またこれまで我々はDylight色素を用いたSRIの検出のみを行ってきたため、今年度はSRIIの観察に向けて新しい色素の選別と、それによるタンパク質の標識について標識方法の検討を行った。その結果FRETのドナーとしてCy3を、アクセプターとしてCy5色素を用いる系を使うことで十分にSRIIを標識できることが示された。さらにSRIIと複合体を形成するトランスデューサータンパク質(HtrII)についても新たに大腸菌による発現系を構築し、大腸菌からの精製法について検討を行ったが、研究に十分な純度でタンパク質を得ることは難しかった。従って今後はSRIIとのフュージョンタンパク質として得ることにより、より高い純度で十分な試料を得ることができるかどうか検討を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は当初計画を行っていた複数の励起波長に対応した顕微鏡を構築することに成功し、十分な信号-ノイズ比で一分子の蛍光像を観察することに成功した。また新たに研究を開始したSRII-HtrIIの系についてはSRI-HtrIの系は異なる波長の蛍光色素で観察することが必要になるが、これについてもCy3-Cy5の蛍光色素の組み合わせを用いることで、十分に一分子観察が可能である事が示された。 一方HtrIIの発現に関しては、タンパク質を大腸菌により発現させることを試みたが、発現量がそれほど十分でなく、一分子観察に必要とされる純度で精製を行うことが難しいことが明らかになった。これについては今後SRIIとのフュージョンタンパク質として精製することを改めて検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度構築を行った蛍光一分子顕微鏡を用いて、実際にSR-Htr複合体からCheタンパク質へ信号伝達が行われる過程について観察を行い、どのようにして信号増幅が達成されているのか、その詳細について増幅率の定量的な評価も含めて研究を行う。また正の走光性に関与するSRI-HtrIと負の走光性に関与するSRII-HtrIIの間で、信号増幅過程にどの様な違いがあるのか、また種が異なった場合それぞれの複合体からCheタンパク質への信号伝達過程にはどの様な差が見られるのかといった多様性についても明らかにすることを目指す。また観察法について当領域の他のグループとの共同研究を通じてより適切な手法の検討を行ったり、我々の持つ光受容タンパク質について他グループの測定手法や解析手法により動作メカニズムについてのさらなる研究を行うことも検討していく。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Structural Basis for Na+ Transport Mechanism by a Light-Driven Na+ Pump2015
Author(s)
H. E. Kato, K. Inoue, R. Abe-Yoshizumi, Y. Kato, H. Ono, M. Konno, T. Ishizuka, M. R. Hoque, S. Hososhima, H. Kunitomo, J. Ito, S. Yoshizawa, K. Yamashita, M. Takemoto, T. Nishizawa, R. Taniguchi, K. Kogure, A. D. Maturana, Y. Iino, H. Yawo, R. Ishitani, H. Kandori, O. Nureki
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Journal Title
Nature
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] The Sodium Pump Rhodopsin Discovered in Ocean2014
Author(s)
Keiichi Inoue, Hikaru Ono, Rei Abe-Yoshizumi, Yoshitaka Kato, Hiroyasu Ito, Susumu Yoshizawa, Kazuhiro Kogure, Hideki Kandori
Organizer
Gordon Research Conference on “Photosensory Receptors & Signal Transduction”
Place of Presentation
Lucca, Italy
Year and Date
2014-04-09 – 2014-04-09
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