2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子が化学反応ネットワークに与える微小空間効果の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Spying minority in biological phenomena -Toward bridging dynamics between individual and ensemble processes- |
Project/Area Number |
26115709
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 正敏 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (40403919)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノバイオ / 微小空間効果 / 非線形 / 非平衡 / 細胞サイズリポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、生物を構成する最小単位である細胞における、その微空間が生化学反応や化学物理現象に与える特異な役割を研究している。最近、細胞サイズのリポソーム(膜小胞)や油中水滴、マイクロ流路などを利用した微小反応場において、生化学反応が試験管サイズのバルク溶液条件と異なっているという報告がなされている。反応の種類も条件も様々である事から、そのメカニズムを統一的に断じる事は容易ではないが、マイクロサイズの容器で相対的に広くなる表面の効果や、溶液を封入する時の分子の少数性が関わっている事を強く示唆する結果が多い。本研究では、我々のこれまでの研究で予備的な現象が見られた、微小空間特異的に形成される構造と、それが化学反応に与える物理的効果とDNA分子が微小空間に取り込まれる時の特異性の2つの課題にフォーカスして研究を進めている。 本年度は、DNA分子が脂質膜小胞の内部に高濃度に封入される系の1つとして、再水和の際にDNAドメインを核としてリポソームの成長が起きる事を明らかにした。手法の開発としては、静置水和法の改良であるTsumoto methodと、dehydration-rehydration法の良いとこどりに相当するものとなっている。この形成メカニズムを、絡まり合う高分子のダイナミクスや粘弾性相分離といったソフトマター物理の知見を生かして解析する事で、特に長いDNAの封入効率を劇的に高める事が出来きた。微小空間への少数分子取り込み促進という観点で言えば、細胞内部のような高濃度の生体高分子が自然な条件設定で自発的に封入されうる事を示した点で、興味深い結果となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において、メインの課題として挙げていた、1)DNA分子が微小空間に取り込まれる時の特異性、2)微小空間特異的に形成される構造が化学反応に与える物理的効果、の内、1番目の課題に関する論文を出版し、その内容も概ね予想通りに達成した。2番目の課題も結果を得て論文としてまとめている最中である。研究計画としては概ね順調に進み、目的に対しても当初想定通りの結果が得られており、1年目の進捗としては概ね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画を遂行すると共に、領域との連携や、存外の結果に着目するなどして、研究を発展させる。
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Research Products
(7 results)