2014 Fiscal Year Annual Research Report
情報伝達チャネルの興奮と抑制を修飾する少数分子の機構解明
Publicly Offered Research
Project Area | Spying minority in biological phenomena -Toward bridging dynamics between individual and ensemble processes- |
Project/Area Number |
26115710
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹内 裕子 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (10324823)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 少数分子 / CNGチャネル / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である「情報伝達チャネルの興奮と抑制を修飾する少数分子の機構解明」のため、嗅覚受容の初段を担う感覚神経細胞である嗅細胞を用いて、実験を行った。嗅細胞では化学物質-生体電気信号への変換が行われ、情報変換チャネルであるCNGチャネルとCl(Ca)チャネルの高協同性が関与する。その過程における信号の修飾が少数分子により引き起こされる点について電気生理学的手法(パッチクランプ法)・細胞内物質制御(ケージド化合物の光解離)・蛍光観察法(LY・Fluoシリーズ)を用いて、検証した。特に、極低濃度でチャネル電流抑制を引き起こす2,4,6-Trichloroanisole(TCA)を中心に、抑制の機構について調査した。本研究成果から、情報変換チャネルの中でも、TCAによるチャネル抑制はCNGのみで効果を示したことや、抑制を引き起した分子の数と抑制を受けたイオンチャネルの数が1対多数であることからも、従来のブロッカーとは機序が異なることが予想された。本研究成果は、嗅細胞のCNGチャネル抑制機構解明のみならず、他チャネルでの抑制機構に関する可能性にも繋がることから、シグナル伝達に関与するイオンチャネル抑制の新しいメカニズムを探索すると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗として①実験データの取得 ②データの解析 ③成果発表の項目を示す。①は研究課題期間中に当初予期していない事態(もらい事故である上階からの水漏れ)が起こり、実験セットアップが大規模に破損したことから、細胞を用いた実験は、計画よりも遅い進行となった。しかし、修復させながらも可能な限りのデータ取得を試みた。②では細胞実験でのデータ取得が難しかったため、シミュレーションを使用し、解析を行った。③は主に海外・国内学会による発表を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究に関する未解明の課題が残されていることや、未復興の装置やセットアップがあるため、今後はセットアップの再構築と共に、より実験に対して合目的なシステムを作製する。また、研究成果の論文化、国内外問わず学術会議での発表に一層力を入れていくことが必要である。
|