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2014 Fiscal Year Annual Research Report

細胞分裂時のゲノム分配における1分子性のモデル研究

Publicly Offered Research

Project AreaSpying minority in biological phenomena -Toward bridging dynamics between individual and ensemble processes-
Project/Area Number 26115713
Research InstitutionChuo University

Principal Investigator

鈴木 宏明  中央大学, 理工学部, 准教授 (20372427)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords人工細胞 / ゲノム分配 / モデル研究
Outline of Annual Research Achievements

真核細胞では,細胞分裂において多様な特殊化したタンパク質が複雑巧妙かつシームレスに働き,複製したゲノムを正確に娘細胞に分配する.大腸菌などの細菌では,これほど精巧な機構を持たないものの,複製されたゲノムはほぼ正確に二つの娘細胞に分配される.本研究では,ゲノムの少数性を維持するメカニズムが,モータータンパク質に代表される精巧な制御がなくとも実現される条件を明らかにすることを目指した.
申請者は過去の研究において,モデル細胞膜であるジャイアントリポソームにゲノム分子を模擬した巨大分子(直径1μm程度)を封入し,膜が細胞分裂様の変形をする際に,2個の巨大分子が娘リポソームに分配される様子を調べた.その結果,娘リポソームのサイズが小さいほど,巨大分子が1:1に分配される確率が顕著に上昇することを示した.本研究では,この内容を継続・発展させ,モデル細胞形成の再現性を飛躍的に改善する工学的工夫を行い,模擬ゲノム分子の娘細胞への均等分配が可能となる条件を定量的に調べている.検討項目は,①模擬ゲノム分子と分裂後の娘細胞のサイズ比の依存性,②細胞質を模擬したバックグラウンド混雑高分子の効果(排除体積効果,拡散係数の減少)の検討を掲げた.
平成26年度は,①を実現する実験方法の改良を行い,一定の進展を得た.具体的には,インクジェットノズルを用いた均一容積を持つリポソーム形成法の開発を行い,実際に利用可能な系が完成しつつある.また,人工細胞膜としてのジャイアントリポソームにたいして高効率で分裂を誘発する条件を見出した.現在,ゲノム分配の確率性を統計的に評価するために,均質なゲノムDNAを調製するための条件検討に取り組んでいる.以上の項目がそれぞれ完結すれば,目標に掲げた,モデル系によるゲノムDNA分配の物理的な評価が可能になる.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本申請内容は非常にシンプルであり,実験方法の概略はすでに完成しているが,統計的に有意な結果を得るためには実験サンプルとして均質なリポソームおよびゲノムDNAを得る必要があると考えており,その調整に計画当初予想していなかった困難を抱えている.モデル人工細胞膜を用いてゲノムDNAの分配を評価するには,以下の4項目を実現する必要がある.
(1)均質なリポソームの調整,(2)高効率なリポソーム分裂の誘発,(3)均質な巨大ゲノムDNAの調整,(4)リポソーム中のゲノムDNA絶対数の評価
以上の項目のうち,(2)については26年度にほぼ100%に近い効率で分裂を誘発する条件を見出し,計画以上の進展を遂げた.(1)に関しては,インクジェットを用いた方法を開発中であり,着実な進展を遂げている.(3)に関しては,申請者の経験不足より,若干の遅れをとっている.ファージのDNAであれば均質なDNAが市販で購入可能であるが,そのサイズが10^4-10^5 bp程度であり,回転半径にして1ミクロン程度である.項目(1)(2)で扱うリポソームの大きさは5-10μm程度であり,実際の細胞とゲノムDNAのサイズ比とは乖離がある.従って,よりサイズの大きなゲノムDNAを調製するため,大腸菌からのゲノムDNA(10^6-10^7 bp)の抽出を試みている.このサイズのDNAは弱いせん断でも簡単に破断するため,より繊細な抽出方法を確立する必要がある.現在,リゾチームの酵素処理により大腸壁を分解させる方法をテスト中である.項目(4)は項目(3)の成否に依存している.レーザー共焦点顕微鏡によりリポソームおよびゲノムDNAのイメージングを行っているが,複数個のDNAの個数を断定するためには均質なDNAの調整が必須であり,現在最適なイメージング条件を探索中である.

Strategy for Future Research Activity

上の項目で述べた項目(3),(4)について重点的に詳細な実験条件の検討を行う.特に,項目(3)に掲げた均質な巨大ゲノムDNAの調整は本研究の達成に重要であり,いくつかの方策を考えている.ひとつは,大腸菌の細胞壁をリゾチームにより穏やかに処理し,そのあとプロテアーゼKにより核様体のタンパク質を処理する方法である.本研究では,一般的なDNA精製法と異なり,抽出後のDNAの純度は重要でないと考えているため,本研究に適した抽出条件の確率を目指している.もう一つは,同じくリゾチームで細胞壁を酵素処理したプロトプラスト様の大腸菌を直接利用する方法である.この方法に関しても,申請者の研究室で手法を完全に確立できていないため,領域内の共同研究により,現在の研究状況に適した実験条件の最適化を行っている.

  • Research Products

    (4 results)

All 2015 2014

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] Stochasticity in Gene Expression in a Cell-Sized Compartment2015

    • Author(s)
      Kz. Nishimura, T. Mtasuura, T. Sunami, S. Tsuru, H. Suzuki, T. Yomo
    • Journal Title

      ACS Synthetic Biology

      Volume: 4 Pages: 566-576

    • DOI

      10.1021/sb500249g

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Identification of Giant Unilamellar Vesicles with Permeability to Small Charged Molecules2014

    • Author(s)
      K. Nishimura, T. Matsuura, T. Sunami, S. Fujii, K. Nishimura, H.Suzuki, T. Yomo
    • Journal Title

      RSC Advances

      Volume: 4 Pages: 35224-35232

    • DOI

      10.1039/C4RA05332J

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Liposome-based liquid handling platform featuring addition, mixing, and aliquoting of femtoliter volumes2014

    • Author(s)
      H. Shiomi, S. Tsuda, H. Suzuki, T. Yomo
    • Journal Title

      Plos One

      Volume: なし

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0101820

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Statistical analysis of vesicle morphology dynamics based on free energy landscape2014

    • Author(s)
      S. Tsuda, H. Suzuki, T. Yomo
    • Journal Title

      Soft Matter

      Volume: 10 Pages: 6038-6046

    • DOI

      10.1039/C4SM00992D

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2016-06-01  

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