2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内局所pH制御メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Spying minority in biological phenomena -Toward bridging dynamics between individual and ensemble processes- |
Project/Area Number |
26115720
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森本 雄祐 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 基礎科学特別研究員 (50631777)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞内PH / 蛍光イメージング / 細胞運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞性粘菌などで見られるアメーバ運動は、特異的なpH領域が細胞内で局所的に形成されることによって、効率よく指向性を持った運動をすることができているものと考えられている。しかしながら、実際にはアメーバ運動における細胞内局所pHの制御機構および詳細な役割は明らかではない。本課題では、蛍光イメージングを中心とした手法により、高時空間分解能での細胞内pH測定および細胞内pHの局所的な制御を行うことにより、細胞内局所pH変化によるアメーバ運動などの細胞のダイナミクスを制御するメカニズムを明らかにすることを目指している。 本年度の研究成果として、励起光の波長切り替えを必要としない1波長励起2波長蛍光での計測が可能な新規FRET型pH感受性蛍光タンパク質を開発することができた。このプローブは高時間分解能でのpH計測を可能とするだけでなく、非常に高感度なpHプローブとして機能することが明らかとなった。開発したプローブを用いて細胞性粘菌の細胞運動と細胞質pHの同時計測を行った結果、cAMPに対する走化性運動と相関して局所的に高pH細胞質領域が形成されることが明らかになった。また、細胞性粘菌の発生段階における細胞質pHの変化を1細胞レベルで計測することができた。さらに、光遺伝学的手法を用いて細胞内の局所pHを人為的に制御するために、細胞性粘菌において効率的にチャネルロドプシン等を発現する細胞株の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の高感度pHプローブとして、FRET型pH感受性蛍光タンパク質を開発することができた。開発したプローブを用いた蛍光イメージングにより、細胞性粘菌の細胞運動と局所的な細胞質pH変化の相関が明らかとなった。また、細胞内局所pHを人為的に制御するためにチャネルロドプシン等を発現する細胞株を作成したが、発現効率自体や原形質膜への移行効率が悪く、光遺伝学の応用に効率的な細胞株の構築を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに計測されている細胞運動に伴った局所的な細胞質pH変化について、より定量的な計測を行い、細胞内局所におけるpH変化量を見積もる。また、細胞性粘菌において効率的にチャネルロドプシン等を発現する細胞株の構築を進め、光遺伝学的手法を用いて細胞内の局所pHを人為的に制御する手法を確立する。これらの計測・制御技術を用いて、自発的な細胞運動による局所pH変化と、人為的な局所pH操作による細胞運動の変化とを比較することにより、細胞性粘菌の運動制御における細胞内局所pH変化の役割を明らかにすることを目指す。
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