2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体デバイスを用いたゲノムサイズクロマチンの高次構造変化実時間観察
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic chromatin structure and function |
Project/Area Number |
26116504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小穴 英廣 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20314172)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クロマチン / バイオテクノロジー / マイクロ・ナノデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでに我々が開発した「クロマチンファイバー上のタンパク質(ヒストンまたはヒストン-蛍光タンパク質)に対する抗体をマイクロビーズ表面に修飾し、これを光ピンセット操作する事で、マイクロ流体デバイス中でスフェロプラストから単離したクロマチンファイバーを捕捉・搬送・固定・免疫蛍光染色する技術」を用い、マイクロ流体デバイス中で一端を固定し、溶液の流れによって靡かせて直線状形態をとらせたクロマチンファイバーに対し、周囲の溶液条件を変えたときの見かけの全長の長さの変化を計測した。ここでは、免疫蛍光染色により、クロマチンファイバー上の特定の部位を蛍光可視化すると共に、ヒストンに対する抗体修飾マイクロビーズをクロマチンファイバーに複数個付着させ、ビーズ間の距離の変化を計測することで、クロマチンファイバーの高次構造変化を計測した。 実験の結果、塩濃度の増加と共にクロマチンファイバーは伸展していき、塩濃度2 Mを超えると、伸展が殆ど起こらなくなることが分かった。これは、クロマチンファイバー上のヒストンがほぼ全て解離するためであると解釈でき、過去の他グループの報告と矛盾しない結果であった。興味深いことに、塩濃度が2 Mを超える環境下でも、抗体修飾マイクロビーズによるクロマチンファイバー捕捉は維持されていた。これは、ビーズ表面の抗体とクロマチンファイバー上のヒストンとの結合が複数箇所で起こっているため、クロマチンファイバー捕捉部分ではヌクレオソーム構造が維持されているためであると推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ流体デバイス中の塩濃度を変えることで、マイクロ流路内に基盤から浮かせた状態で一端を固定したクロマチンファイバーに高次構造変化を起こすとともに、クロマチンファイバーに付けた目印(免疫蛍光染色による輝点および抗体修飾ビース)の間隔(距離)変化を計測することを実現した。また、このマイクロ流体デバイス上で単離したクロマチンファイバーの詳細構造を調べるためのAFM観察にも着手を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、クロマチンファイバーに付けた目印(免疫蛍光染色による輝点および抗体修飾ビース)の間隔(距離)計測について、定量的・統計的データ取得を進め、クロマチンファイバーの階層的な高次構造間の動態を明らかにしていきたいと考えている。また、AFMによる単離クロマチンファイバーの詳細構造についても、調べていくことを計画している。この詳細構造取得と、マイクロ流体デバイスと蛍光顕微鏡法を用いたマイクロメートルオーダーの単分子レベル生化学実験とを組み合わせ、クロマチンの階層的な高次構造間の動態を、ファイバーに沿った空間的位置情報も含めて明らかにしていきたいと考えている
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