2014 Fiscal Year Annual Research Report
核膜アンカーに依存したセントロメアクロマチン制御機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic chromatin structure and function |
Project/Area Number |
26116508
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 智裕 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (80212223)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セントロメア / クロマチン / Cenp-A |
Outline of Annual Research Achievements |
セントロメアクロマチンの際立った特徴は、ヒストンH3のバリアントであるCenp-Aを含むことである。Cenp-Aヌクレオソームの存在領域の大きさ、その領域におけるヌクレオソームの密度、Cenp-AヌクレオソームとH3ヌクレオソームとの比率は、厳密な制御を受ける。セントロメアにおいてCenp-Aヌクレオソームが適切に分布するためには、Cenp-Aヌクレオソームの取込み機構のみではなく、過剰なCenp-Aヌクレオソームの排出機構も必要であると推測できる。申請者らは、排出機構の解明を目的とした分裂酵母を用いたスクリーニングの結果、プロテアソームの19 S Regulatory Capのサブユニットをコードするrpt3+遺伝子の変異体 (rpt3-1) を単離した。26年度の本研究では、1)排出機構の構成因子を理解するとともに、2)この機構がセントロメアにおける余剰のCenp-Aヌクレオソームを察知するメカニズムを解析し、以下の結果を得た; 1)新規因子Ubf1の同定:rpt3-1変異体と同様に、Cenp-Aタンパク質の高発現に依存的な致死性を示す変異体を解析し、その原因遺伝子としてufb1を同定した。Ufb1タンパク質はubiquitin/sumo 修飾を受けたタンパク質に結合し、シャペロン因子をリクルートすることが知られている。おそらくセントロメアクロマチンにおけるCenp-Aの分布制御にも類似の機構が作用する可能性を示唆する結果である。 2)Cenp-C 遺伝子の変異体の表現形解析:Cenp-C 遺伝子の高温感受性変異によりセントロメアクロマチンにおけるCenp-Aの分布に異常を来すことを見いだした。興味深いことに、制限温度下の培養で、Cenp-Aはセントロメアから消失するが、その一方で、椀部に集積することを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、1)排出機構の構成因子を理解するとともに、2)この機構がセントロメアにおける余剰のCenp-Aヌクレオソームを察知するメカニズムを解析することを目的とし、26年度は、2つの因子 (Ufb1, Cenp-C) を同定し、Cenp-C については、その変異が引き起こす興味深い表現形(Cenp-A 異所集積)を見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度の研究により、ubiquitin/sumo修飾がセントロメアクロマチンにおけるCenp-Aの分布制御に関わることが一層強く示された。ubiquitin/sumo修飾の標的残基であるリジンをアルギニンに置換したCenp-Aを発現し、そのセントロメアでの分布を種々の遺伝的背景で解析する。またCenp-C の変異体におけるCenp-A 異所集積のゲノム上での位置を明確にしたい。
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