2014 Fiscal Year Annual Research Report
CV-SANS法による変異型ヌクレオソームの詳細構造解析
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic chromatin structure and function |
Project/Area Number |
26116509
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 正明 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (10253395)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CV-SANS / 変異型ヌクレオソーム / H2A.B |
Outline of Annual Research Achievements |
クロマチンの基本構成単位であるヌクレオソームは、4種類のヒストン(H2A, H2B, H3, H4)が2つずつからなるヒストンコアにDNAが巻き付いた構造をしている。加えてこの正準型のヌクレオソームとは異なったヌクレオソームが存在し、動的な性質を含めクロマチンの機能と深く関連していると考えられている。このような変異型ヌクレオソームの機能発現時に対応すると考えられる溶液中での構造に興味が持たれている。そこで本研究では、中性子及びX線小角散乱(SANS・SAXS)法を用いてこれらの変異型ヌクレオソームの溶液中での構造を解析し、その機能・動的性質の解明を行う事を目的としている。特にヒストンとDNAの中性子に対する散乱能が異なっているため、溶媒のH2O/D2O比を変えることで、ヌクレオソーム中のヒストンもしくはDNAの構造を選択的に観測することが可能となる( CV-SANS法)。今回はH2Aが変異型H2A.Bに置換したヌクレオソームの溶液中での構造解析をCV-SANS用いて行った。H2A.Bは転写活性領域に多く存在しており、ヌクレオソームの機能活性化と深く関係していると考えられる。SAXSによる全体観測によりDNAの広がりが示唆されているが、CV-SANS法による観測によりDNAの広がりに加え、ヒストンテールのヒストンコアへの吸着度が正準型ヌクレオソームに比べ高い事が観測された。これはヒストンテールの挙動がDNAの解離と深く関連していることを示す新しい地検である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CV-SANS法を用いた測定により溶液中の変異型ヌクレオソームの構造解析に成功しており、H2A.Bヌクレオソームのヒストンテールの挙動と言うこれまでにない知見が得られている。加えて、他のヒストンバリアントを含んだヌクレオソームのCV-SAN法とSAXS法を組み合わせた構造解析に着手しており、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
CV-SANS法が溶液中でのヌクレオソームの構造解析に有効であり、他の結晶化しないヌクレオソームの構造解析にも医療を発揮すると考えられる。したがって、機能性や疾病に関連する興味深いヌクレオソームの構造解析を進めていく。同時に、X線を用いた溶液散乱法であるSAXS法、動的な構造=DNAの揺らぎなども考量した解析としてMD法との連携した解析を進める。 考えられる問題点は中性子散乱のマシンタイムの確保であるが、フランスのラウエ・ランジュバン研究所の装置だけでなく、ORNL(米国)・ANSTO(豪州)などの海外施設へのマシンタイムの申請、国内のJ-PARCの装置グループとの連携も深めてより一層のマシンタイムの確保に努める。
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[Journal Article] Distinct Features of the Histone Core Structure in Nucleosomes Containing the Histone H2A.B Variant2014
Author(s)
Masaaki Sugiyama, Yasuhiro Arimura, Kazuyoshi Shirayama, Risa Fujita, Yojiro Oba, Nobuhiro Sato, Rintaro Inoue, Takashi Oda, Mamoru Sato, Richard K. Heenan, Hitoshi Kurumizaka
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Journal Title
Biophysical Journal
Volume: 106
Pages: 2206-2213
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 中性子小角散乱の基礎と応用2015
Author(s)
杉山正明
Organizer
日本化学会 第95春季年会
Place of Presentation
日本大学 理工学部船橋キャンパス(千葉県船橋市)
Year and Date
2015-03-26 – 2015-03-29
Invited
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