2014 Fiscal Year Annual Research Report
相同染色体対合に必要な非コードRNAが動的クロマチン構造と相互作用する仕組み
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic chromatin structure and function |
Project/Area Number |
26116511
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平岡 泰 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10359078)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近の研究により、非コードRNAはヒトゲノムの4割を占める広汎な領域から転写されていることが分かっている。ほ乳類X染色体の不活性化や分裂酵母の相同染色体の対合において、非コードRNAが染色体上に蓄積する例が知られているが、このような染色体機能に直接関与する非コードRNAは、その存在自体まだ報告例が少なく、ほとんど解析されていない。私たちは、分裂酵母の減数分裂において、非コードRNA であるmeiRNAが染色体の特定の部位sme2遺伝子座に蓄積し、減数分裂に必須な相同染色体の対合に寄与することを発見した。しかし、その分子メカニズムについては不明のままである。本研究は、染色体上のsme2遺伝子座に蓄積したmeiRNAの結合タンパク質を同定し、その役割を理解することによって、クロマチン機能における非コードRNAの機能を明らかにすることを目的とする。そのために、分裂酵母で減数分裂期に発現するmeiRNAを足がかりとして、クロマチン機能におけるRNA分子の役割を明らかにする。 平成26年度は、まずmeiRNAが転写後に染色体に蓄積する仕組みを理解するために、meiRNAと相互作用するタンパク質複合体の網羅的検索を行った。まず、GFP融合タンパク質ライブラリを利用したmeiRNA共局在因子の網羅的的解析を行った。このために独自に作成したGFP融合ライブラリからmeiRNA様の核内にドットを作るものを検索しmeiRNAと共局在する因子を選別した。また、相同染色体の対合部位の網羅的な検索を行う目的で、ゲノムワイドに約100kbp間隔でlacOリピート配列を挿入した一群の細胞株を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GFP融合タンパク質ライブラリを利用したmeiRNA共局在因子の網羅的的解析により、meiRNAと共局在する因子を選別することができ、さらにこの中から相同染色体の対合に影響する因子を同定することができた。 また、ゲノムワイドに約100kbp間隔でlacOリピート配列を挿入した一群の細胞株を作成したことにより染色体の約130箇所を生細胞可視化できるようになった。これは本課題の目的だけでなく、染色体のダイナミクスを研究する様々な実験に活用できる有用な資源となる。 成果として、分裂酵母の細胞核ダイナミクスの解析に関して3編の論文 (Chikashige et al., 2014; Ruan et al., 2015; Ozaki et al., 2015) を出版し、イメージング技術について1編の論文(Asaakwa et al., 2014)を出版した。 これらのことから、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
GFP融合タンパク質ライブラリを利用したmeiRNA共局在因子の網羅的的解析を行った結果、meiRNAドットと共局在する因子を約10種類選別した。今後は、これらの候補遺伝子に対して、遺伝子破壊を行い、相同染色体の対合に影響を与えるものを検索する。減数分裂の進行に関わるRNA分子種の検索も行う。さらに、ゲノムワイドに約100kbp間隔でlacOリピート配列を挿入した一群の細胞株を活用し、体細胞分裂や減数分裂での染色体のダイナミクスを細胞で連続的に追跡する。 また高分解能でクロマチン構造を観察するために、超分解能顕微鏡法として、3D-SIM (3次元Structured Illumination Microscope)を用いて、分裂酵母の減数分裂期の染色体繊維をトレースし、ヒストン修飾の変異のクロマチン構造への影響を解析する。ついで、コヒーシンなど相同染色体の対合に関わるタンパク質の変異体でクロマチン繊維の構造をイメージングする。これらの変異株で染色体腕部・セントロメアおよびsme2遺伝子座における相同染色体の対合を観察し、相同染色体対合に必要なクロマチン構造形成を明らかにする。 核膜タンパク質や核膜孔複合体タンパク質がRNAとの相互作用や細胞核機能に与える影響についても解析する。これまでに核膜孔複合体タンパク質の変異株のなかに染色体分離や減数分裂に障害を示すものを見いだしている。これらの変異株において、障害が生じる分子レベルでのメカニズムをイメージングと分子遺伝学により解析する。
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[Presentation] 分裂酵母の核膜孔複合体蛋白質Nup131, Nup132の機能解析2014
Author(s)
淺川東彦, Hui-ju Yang, 大槻千鶴, 糀谷知子, 森知栄, 小坂田裕子, 長尾恒治, 小布施力史, 平岡泰, 原口徳子
Organizer
第32回染色体ワークショップ・第13回核ダイナミクス研究会
Place of Presentation
安芸グランドホテル、広島県
Year and Date
2014-12-16
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