2014 Fiscal Year Annual Research Report
転写と共役したクロマチン初期化制御の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic chromatin structure and function |
Project/Area Number |
26116513
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
加藤 太陽 島根大学, 医学部, 助教 (40548418)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゲノム / ヌクレオソーム / RNA / 非翻訳領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
独自に得たRNA-seqとChIP-seqのデータと既存のゲノムワイドデータを組み合わせた詳細な解析を行い、以下の知見を得た。1)タンパク質をコードする1,508の遺伝子に対し、転写開始に必須の役割を果たす基本転写因子であるTFIIBの結合ピークとRNAの転写開始点を対応づけた。2)上の遺伝子には5'非翻訳領域(5'-UTR)の長い遺伝子が多く含まれていたが、3)その領域から転写されたRNAは二次構造を形成し、4)その領域のヌクレオソームは不安定であり、5)しかもその領域を転写するRNAポリメラーゼIIの速度が早いことが示唆された。一方で、6)コーディング領域(CDS)のヌクレオソームは安定しており、CDS領域の転写は比較的遅いらしい。 これらの知見は、ひとつの転写領域の内部にヌクレオソームの安定性が異なる部分領域が存在することを示しており、転写と共役したクロマチン動構造制御は当初予想したものよりも複雑であることを暗示している。5'-UTRにおけるヌクレオソームの不安定性はRNAポリメラーゼIIによる転写速度を高め、それにより適切な二次構造形成が促進される可能性がある。5'-UTRに該当するRNAの二次構造には本来の翻訳開始点より上流に頻出するAUG配列が含まれていることから、二次構造の形成は正確な位置からの翻訳を保証する可能性がある。これらの知見は、RNAの高次構造を介した翻訳開始点の選抜とクロマチン制御が関連し、しかもその制御が転写と共役していることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記した観察結果は当初予想していなかったのだが、真核生物に普遍的な重要な現象を捉えることができているのではないかと考えている。また、抗体や試料のやりとりや高速シーケンシングなど、新学術領域内で班員との連携を高め、公募班として領域に参画できたメリットをうまく活かして研究を進めることができていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
5'-UTR領域のクロマチンの状況を翻訳後修飾レベルで把握することがより重要であると考えている。5'-UTR領域とCDS領域ではヒストンの翻訳後修飾に違いがあり、その差がヌクレオソームの安定性の違いをもたらすとの仮説に立ち、それを検証する。また、ひとつの転写開始点から出発したひとつのRNAポリメラーゼII分子が転写を担当するにもかかわらず、領域によってヌクレオソームの安定性に違いをもたらす仕組みを、DNAエレメントなどのシス要因だけでなく、転写装置などのトランス要因も検討しつつ明らかにする必要がある。
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