2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規エピゲノム分析によるクロマチン変異の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic chromatin structure and function |
Project/Area Number |
26116516
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
甲斐 雅亮 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (00160953)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クロマチン / エピゲノム / ヒストン / DNA / 変異 / メチル化 / 蛍光反応 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞のがん化にはDNAの変異・欠損だけでなく、DNAメチル化やヒストンのアセチル化などのヒストン修飾によるクロマチン変異が深く関与している。DNAメチル化とヒストン修飾のパターンは各生体組織によって異なる一方、がん細胞での特定遺伝子領域において、高頻度なメチル化など、がん特異的なクロマチン変異が報告されている。本研究では、これまで開発してきた、シトシンに特異的な蛍光検出反応、修飾アミノ酸を蛍光検出できるタンパク質配列決定法等の新しい分析技術を応用し、シトシンのメチル化位置を定量評価するメチローム解析の新技術、及びヒストン修飾の種類と部位を定量的に解析できるタンパク質配列決定の新技法を開発して、新たながん標的遺伝子の発現を抑制する人工siRNAの創出を目的としている。 配列既知の39 bpからなる合成2本鎖DNAを用いて、アデニン、グアニン、シトシンのそれぞれに特異的な蛍光反応を行い、各塩基の濃度を測定し、配列から算出される理論値と比較した。その結果、アデニンとグアニンは、ほぼ理論値に近い値が得られたが、シトシンに関しては理論値より低い値であった。この原因として、DNAの加水分解や蛍光反応時の反応条件が最適ではないことが考えられたため、現在、これら反応条件の検討を行っている。 市販のヒストンを3種類の酵素(トリプシン、キモトリプシン、プロテイナーゼK)によって分解したのち、カテコールと反応させ、HPLCにより蛍光検出したところ、使用する酵素の組み合わせによって、様々なピークを分離・検出することができた。この結果は、HPLCパターンを比較することによって、ピークの位置や高さの違いから、ヒストンのアセチル化などの修飾部位が検出できることを示している。現在、正常及びがん組織のヒストンを比較するために、各組織由来のヒストン精製法を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究代表者が開発したペプチド特異的な蛍光反応をもとに、ヒストンの酵素分解物をHPLCによって分離・検出することができた。また、複数の酵素を使用することで、HPLCパターンに違いがあることも確認しており、正常及びがん組織のヒストン修飾の差異を同定する方法が開発できると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
メチル化シトシンの検出に関しては、DNAの加水分解反応や蛍光誘導体化反応の条件を検討し、DNA中のシトシンを定量するとともに、メチル化シトシンを含む合成DNAを用いて、DNA中のメチル化シトシン定量法を開発する。この方法をもとに、正常及びがん組織由来の染色体中の修飾シトシン量を比較・評価し、修飾シトシンを多く含む塩基配列ならびに遺伝子群の探索へと発展させる。 また、HPLCを用いたヒストン中の修飾部位の同定法が構築中であるので、本測定法による正常及びがん組織由来のヒストン修飾の解析、修飾部位のアミノ酸配列決定へと発展させる。
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