2014 Fiscal Year Annual Research Report
X線小角散乱を用いた再構成クロマチンの動的構造解析
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic chromatin structure and function |
Project/Area Number |
26116519
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小田 隆 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特任助教 (00573164)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線小角散乱 / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
早稲田大学胡桃坂博士らとの共同研究により、セントロメア特異的なH3のヒストンバリアントであるCENP-Aを含むヌクレオソームについてX線小角散乱解析を行った。これまでの我々の研究からCENP-Aモノヌクレオソームではヒストンに巻きついたDNAの両端がはがれて揺らいだ状態にあることが示されている(Tachiwana et al, 2011 Nature)。このようなモノヌクレオソーム構造の差異がセントロメアの形成・維持・機能にどのようにかかわるのか明らかにするために、より高次の再構成クロマチンを調製し解析を行った。具体的にはH3またはCENP-Aを含むモノヌクレオソームを3つ、H3-H3-H3の順、またはH3-CENP-A-H3の順でつないだトリヌクレオソームを調製し、そのX線小角散乱パターンから距離分布関数(P(r))、慣性半径(Rg)を解析した。このような高次のヌクレオソーム複合体は動的に揺らいだ構造をとるため結晶構造解析が困難と考えられると同時に、その動的な構造が機能に重要であると想像される。解析の結果H3-CENP-A-H3トリヌクレオソームはH3-H3-H3とは明らかな散乱パターンの差異が観測され、動的な構造に違いがあることが示された。これはセントロメア領域のクロマチン構造の特徴を反映しているものと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒストンバリアントを含むヌクレオソームがクロマチンの高次構造へどのような影響を与えるのかを明らかにするためには、ヒストンバリアントを含む再構成クロマチン複合体の動的な構造解析が必要である。2014年度はヒストンバリアントを含むモノヌクレオソームおよび、より高次のクロマチン複合体としてトリヌクレオソームのX線小角散乱実験を行うことを予定していた。ヒストンバリアントのうち、CENP-AについてはトリヌクレオソームのX線小角散乱実験まで進めることができたため、おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までのX線小角散乱実験により、CENP-Aを含むトリヌクレオソーム(高次クロマチン複合体)は通常のCENP-Aを含まないトリヌクレオソームと比較して、動的な構造に差異があることが示された。そこでさらなる小角散乱実験と分子動力学計算シミュレーションによる解析を行い、動的な挙動の違いをより詳細に定量的に解析し、CENP-Aがクロマチンの高次構造へ与える影響を明らかにする。分子動力学計算は領域内での共同研究により行う。このような巨大複合体では溶液中での分子の挙動を正しく再現するために計算と実験の両面で様々な工夫が必要となる。疎視化シミュレーションではアミノ酸残基1つや塩基1つを1粒子とすることで計算を簡素化でき、全原子シミュレーションでは追えないような長時間にわたる大規模な構造変化を追うことができるためこれを行う。ただし、この方法では各粒子間に働く相互作用を全原子シミュレーションのように正確に再現できない。従って、正しく解析を行うために計算パラメータを様々に変動させて計算を行い、得られる構造アンサンブルから小角散乱パターンを計算し、実測の散乱パターンとの一致度を確認しながら解析を行う。解析にはこれまでに収集したX線小角散乱データを利用する。また、ヌクレオソームの間をつなぐリンカーDNAの長さに依存してとりやすい構造が変化することも考えられるため、リンカーの長さの異なるトリヌクレオソームについても同様に解析を行う。
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[Journal Article] Molecular Basis for SMC Rod Formation and Its Dissolution upon DNA Binding2015
Author(s)
Young-Min Soh, Frank Burmann, Ho-Chul Shin, Takashi Oda, Kyeong Sik Jin, Christopher P. Toseland, Cheolhee Kim, Hansol Lee, Soo Jin Kim, Min-Seok Kong, Marie-Laure Durand-Diebold, Yeon-Gil Kim, Ho Min Kim, Nam Ki Lee, Mamoru Sato, Byung-Ha Oh, and Stephan Gruber,
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Journal Title
Molecular Cell
Volume: 57
Pages: 290 - 303
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Distinct Features of the Histone Core Structure in Nucleosomes Containing the Histone H2A.B Variant2014
Author(s)
Masaaki Sugiyama, Yasuhiro Arimura, Kazuyoshi Shirayama, Risa Fujita, Yojiro Oba, Nobuhiro Sato, Rintaro Inoue, Takashi Oda, Mamoru Sato, Richard K. Heenan,and Hitoshi Kurumizaka
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Journal Title
Biophysical Journal
Volume: 106
Pages: 2206 - 2213
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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