2014 Fiscal Year Annual Research Report
足場非依存性間欠性細胞分裂の転写制御と代謝
Publicly Offered Research
Project Area | Crosstalk of transcriptional control and energy pathways by hub metabolites |
Project/Area Number |
26116707
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 光保 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20194855)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 足場非依存性増殖 / 細胞増殖動態 / 幹細胞 / MAFK / Sall4 |
Outline of Annual Research Achievements |
●スフェア内細胞増殖動態の3次元定量解析を行なうことを目的として、ヒト角化細胞株HaCaTにKi67遺伝子の転写制御領域に依存して赤色蛍光タンパク質turboRFPを発現するプラスミドベクターを安定に導入した細胞(HaCaT-ki67RFP)を作製した。この細胞を2次元の通常の培養条件下で観察すると、ほとんどすべての細胞がRFPを発現したままで連続的に細胞分裂を繰り返すことが示された。 ●HaCaT細胞に転写因子MAFKを安定に発現させた細胞(HaCaT-MAFK)を作製して、足場非依存性のスフェア形成能を解析した。HaCaT-MAFKは、持続的に増大するスフェアを形成する能力が亢進しており、コントロールと比較して、より大きなスフェアを形成した。そこで、この細胞にさらにki67RFPをさらに追加したHaCaT-MAFK-ki67RFPを作製した。 ●Sal-like protein 4 (Sall4)は、ES細胞において分化誘導に関わる遺伝子の発現を抑制して、ES細胞の未分化性の維持に関与することが知られている。Sall4の発現ベクターを作製して293T細胞に発現させたところ、他の未分化性の維持に関わるOCT4、Sox2、Nanogは安定なタンパク質として発現が認められたのに対し、Sall4はタンパク質の分解が激しかったため、分化した細胞では、Sall4の分解が亢進すると考え、Sall4EGFP融合タンパク質の発現ベクターを作製し、HaCaT-MAFK-ki67RFP-Sall4EGFPを樹立した。 ●現在樹立した細胞群を用いて、スフェア形成過程における細胞群の増殖動態を解析する実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
●Ki67遺伝子の発現制御領域に依存してturboRFPを発現するベクターを導入したHaCaT-ki67RFPを作製して、細胞増殖動態を蛍光観察できる細胞株を作製できたことは、おおむね順調に進んでいる。 ●HaCaT細胞に転写因子MAFKを導入して作製したHaCaT-MAFKがスフェア形成能を獲得することを示したことは、計画以上の進展であった。 ●Sall4が分化した細胞では分解が亢進することを示し、Sall4EGFP融合タンパク質の発現ベクターを作製したことは計画作成時には、予測していなかった成果であった。 ●スフェア内の細胞増殖動態を蛍光観察することが可能なコンフォーカル顕微鏡システムを構築した。 ●HaCaT-MAFK-ki67RFP-Sall4EGFPを作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
●HaCaT-MAFK-ki67RFP-Sall4EGFPをスフェア培養した後に、細胞を単離して緑色蛍光陽性細胞をFACSで分離し、緑色蛍光陽性細胞と陰性細胞の2次スフェア形成能を解析する。 ●HaCaT-MAFK-ki67-Sall4EGFPの2次元培養時とスフェア培養時の蛍光観察を行い、2次元培養時とスフェア培養時の細胞増殖動態を解析する。 ●緑色蛍光陽性細胞が幹細胞の特性をもつことが示されたら、この状態の細胞における遺伝子発現パターンと代謝物質の網羅的解析を行なう。
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