2014 Fiscal Year Annual Research Report
転写環境の破綻によるATP量の変動が惹起する先天性心疾患発症機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Crosstalk of transcriptional control and energy pathways by hub metabolites |
Project/Area Number |
26116718
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
二村 圭祐 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00462713)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心臓発生 / 転写制御 / エピジェネティクス / 代謝制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓は胚発生において最初に発生する器官であり発生初期から拍動を開始し死ぬまで拍動を続けるため、組織量あたり最もATPを生産し、かつ消費する。さらに、心臓発生において1本のheart tubeがloopingと呼ばれる複雑な形態形成運動を行なうことで心臓の形が作られるため、その運動のエネルギー源としてATPが適切な量あることが必須である。しかし、ATP産生関連遺伝子を大量に発現させる転写機構については明らかになっていない。我々は、これまでにヒストンメチル化酵素Whsc1がATP産生関連遺伝子の発現制御に関係しているデータを得ている。そこで、当該年度においては「ヒストンH3K36メチル化酵素Whsc1がATP産生関連遺伝子を制御する仕組み」を明らかにするために研究に取り組んだ。まず、Whsc1欠損によって、ATP産生関連遺伝子座におけるRNAポリメラーゼのローディング量をChIPsqによって解析してみたところ、プロモーター領域においてRNAにポリメラーゼのローディング量が増加していることがわかった。さらに、この領域の新生RNA量が増加しているかクロマチンに結合しているRNA量を計測してみたところ、RNAポリメラーゼの増加に伴って、RNA量が増加している予備的な結果を得ることができた。しかし、まだ予備的な結果であり、シークエンサーを用いて解析する予定である。細胞内ATP量の増加に伴って、クロマチンリモデリング因子が活性化し、ヌクレオソームが不安定化している可能性を予備的なMNase-seqによって見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに得られた結果から、Whsc1欠損細胞ではATP産生関連遺伝子の転写開始点付近においてヌクレオソームが不安定化することで、RNAポリメラーゼの量が増加し、その結果転写が亢進していることが示唆された。まだ研究途中ではあるが、ATP量制御を介した新規な遺伝子発現制御のメカニズムを明らかにする可能性があると考えられる。まだ論文投稿には至っていないが、研究は概ね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究については、昨年度より引き続き、研究計画書に基づいて遂行する。昨年度の研究費は主に、消耗品、学会出張費に使用した。本年度においては、消耗品、学会出張費などに研究費を使用したい。
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