2014 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の代謝改変とDNAメチル化制御のクロストークの実体の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Crosstalk of transcriptional control and energy pathways by hub metabolites |
Project/Area Number |
26116719
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西川 恵三 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (30516290)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / Dnmt3a / 細胞分化 / 好気的代謝 / 細胞内代謝 / SAM |
Outline of Annual Research Achievements |
破骨細胞の代謝は、細胞分化に伴って、嫌気的過程から好気的代謝に変化する。この代謝様式の改変が担う役割には、不明な点が多い。申請者は、破骨細胞の分化過程を通して網羅的なメタボローム解析を行った結果、S-アデノシルメチオニン(SAM)が、好気的代謝と協調して増加することを見出した。申請者は、破骨細胞分化にかかわる抑制性転写制御の重要性を世界に先駆けて実証しており、近年、発展研究の成果として、抑制性のエピジェネティク制御、DNAメチル化制御の関与を明らかにしている。SAMは、DNAメチル化酵素の補因子であることから、破骨細胞の代謝と分化を結びつける新たな制御様式が予想される。そこで、本研究では、SAM産生と共役するDNAメチル化制御の是非を、SAMとメチル化DNAを可視化することで、直接的に実証することを試みる。 本年度は、破骨細胞のDNAメチル化制御にかかわるDNAメチル基転移酵素を同定した。遺伝子発現解析の結果、Dnmt3aの遺伝子発現が破骨細胞分化に伴って誘導する一方で、Dnmt1やDnmt3bの変化は見られないことが明らかとなった。shRNAを用いた機能解析を実施したところ、Dnmt3aが破骨細胞分化に必須であることを見出した。次に、コンディショナルノックアウトの手法を用いて、破骨細胞特異的なDnmt3a欠損マウスを作出したところ、破骨細胞の形成が阻害され、骨量が増加することが明らかとなった。以上の結果から、破骨細胞のDNAメチル化制御を担う主な遺伝子はDnmt3aであることが示唆される。一方、SAMの合成酵素であるメチオニンアデノシルトランスフェラーゼの阻害剤は、破骨細胞分化を阻害する。このことから、SAMとDnmt3aの両方が破骨細胞分化の重要な制御因子であることが考えられ、SAMとDnmt3aによる協調的なDNAメチル化制御の存在が予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞ならびに個体レベルの機能解析によって、破骨細胞分化におけるDnmt3aとSAMの重要性を明らかにでき、申請研究計画通りに研究が遂行できており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
破骨細胞分化におけるDnmt3aとSAMの重要性が明らかとなったことから、次に、SAMとDnmt3aによって産生されるメチル化DNAを可視化する蛍光プローブの開発に取り組む。これによって、SAM産生と共役するDNAメチル化制御のライブイメージング手法の確立を試みる。
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