2014 Fiscal Year Annual Research Report
一次性ミクログリア病:CSF-1R変異関連HDLSにおけるミクログリアの機能異常
Publicly Offered Research
Project Area | Glial assembly: a new regulatory machinery of brain function and disorders |
Project/Area Number |
26117506
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池内 健 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20372469)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミクログリア / 大脳白質 / 神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクログリアは神経軸索やオリゴデンドロサイトの機能維持に重要な役割を果たすことが明らかにされている。ミクログリア機能の一次的な障害により大脳白質病が生じることが知られており,その代表的な疾患として神経軸索スフェロイドを伴うびまん性白質脳症(HDLS)がある。HDLSの原因遺伝子はミクログリアに強く発現するCSF-1Rである。研究代表者は,HDLSがCSF-1Rのハプロ不全とCSF-1Rシグナル減弱を原因とすることを明らかにしてきた。平成26年度は以下の検討を行った。 1)変異CSF-1R導入培養細胞におけるCSF-1Rシグナル伝達障害 本邦HDLS患者において見出した変異型CSF-1R(3種類の欠失変異,5種類のミスセンス変異)を培養細胞に一過性に導入し,リガンド(CSF-1およびIL-34)依存性に生じるCSF-1Rシグナル伝達について検討をした。リガンド依存性に生じるCSF-1Rの自己リン酸化について特異的リン酸化抗体を用いて検討したところ,変異型CSF-1Rでは自己リン酸化が生じなかった。さらにCSF-1Rの自己リン酸化に引き続き生じるシグナル下流の分子(Src family kinase, Grb2, p85/Akt, Cbl)について検討した。その結果,変異型CSF-1Rでは,野生型CSF-1Rと比較して,下流の一部のシグナル伝達も減弱していた。 2)変異CSF-1Rを導入したミクログリアの機能異常 ミクログリア細胞株(BV2細胞)に変異CSF-1Rを導入し,リガンド依存性のCSF-1Rシグナル伝達を同様の手法により検討した。変異CSF-1Rを一過性に導入したBV2細胞では,上記の培養細胞とは異なり,リガンド付加によりCSF-1Rの自己リン酸化が認められた。この理由としてBV2細胞では内在性CSF-1Rが発現しており,リガンドに対して内在性CSF-1Rが反応したことが考えられた。そのため,BV2細胞の内在性CSF-1Rをノックダウンした上で,変異型CSF-1Rを導入するアッセイ系を樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は各種培養細胞にHDLS患者関連CSF-1R変異体を導入し,CSF-1Rシグナル伝達およびミクログリアの解析を行うことを予定しており,概ね順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はCSF-1R変異導入ミクログリアの機能アッセイを行い,CSF-1R変異がミクログリアの機能に及ぼす影響を検討する。さらに,ミクログリアの形態的な異常について,HDLSの患者剖検脳を用い,その微細構造の変化を検証する。特異抗体と用いた免疫染色に加え,電子顕微鏡を用いたミクログリアの細胞内微細構造について観察する。またHDLS患者由来末梢血から単核球を単離し,リガンド(CSF-1, IL-34, GM-CSF)存在下でミクログリア様細胞に分化させ,その機能を解析する。
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[Journal Article] Haploinsufficiency of CSF-1R and Clinicopathological Characterization in patients with HDLS.2014
Author(s)
Konno T, Tada M, Tada M, Koyama A, Nozaki H, Harigaya Y, Nishimiya J, Matsunaga A, Yoshikura N, Ishihara K, Arakawa M, Isami A, Okazaki K, Yokoo H, Itoh K, Yoneda M, Kawamura M, Inuzuka T, Takahashi H, Nishizawa M, Onodera O, Kakita A, Ikeuchi T
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Journal Title
Neurology
Volume: 82
Pages: 139-148
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Hereditary Diffuse Leukoencephalopathy With Spheroids (HDLS): Histological Features Of Microglia.2014
Author(s)
Tada M, Konno T, Tada M, Okazaki K, Arakawa M,Itoh K, Yamamoto T, Yokoo H, Yoshikura N, Ishihara K, Toyoshima Y, Onodera O,Nishizawa M, Ikeuchi T, Takahashi H, Kakita A
Organizer
66th Meeting American Academy of Neurology
Place of Presentation
Pennsylvania Convention Center, Philadelphia, USA
Year and Date
2014-04-28 – 2014-04-28