2014 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄および後根神経節グリアにおけるアクアポリン4の役割と神経因性疼痛の病態生理
Publicly Offered Research
Project Area | Glial assembly: a new regulatory machinery of brain function and disorders |
Project/Area Number |
26117516
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安井 正人 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90246637)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グリアアセンブリ / アクアポリン4 / 神経因性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経因性疼痛は、疼痛による機能障害から精神的苦痛、睡眠障害などをもたらすことから、多くの患者が著しいQOL の低下に苦しんでおり、大きな社会問題として残されている。本プロジェクトでは、神経因性疼痛におけるグリアアセンブリの破綻の重要な分子としてAQP4 に注目し、AQP4ノックアウトマウスを用いて解析していくことを目的とした。 最初に、後根神経節のサテライトグリアにおいても中枢神経アストロサイトと同様、AQP4が発現しているか免疫組織学的に検討した。その結果、三叉神経節および後根神経節にAQP4が発現していることが解った。さらに、グリア細胞のマーカーであるとの発現パターンから、AQP4の発現は神経細胞ではなく周囲のグリア細胞であることを確定した。尚、後根神経節におけるAQP4の発現量は、三叉神経節における発現量に比べてわずかであった。 次に、AQP4ノックアウトマウスを用いて行動解析を行い、神経因性疼痛の病態(坐骨神経損傷、spared nerve injury (SNI) モデル)におけるAQP4の関与を検討した。その結果、野生型マウスとAQP4ノックアウトマウスの間に有意差を認めることはできなかった。 これらの研究成果を論文として発表した。
(Kato J, Takai Y, Hayashi MK, Kato Y, Tanaka M, Sohma Y, Abe Y, Yasui M. Expression and localization of aquaporin-4 in sensory ganglia. Biochem. Biophys. Res. Commun. 451(4):562-7. (2014))
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目に計画されていた、 1)脊髄および後根神経節におけるAQP4の免疫組織学的解析 2)神経因性疼痛マウスモデルの作成 3)AQP4ノックアウトマウスを用いた疼痛モデルの行動解析 はすべて終了し、論文として発表するに至った.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、後根神経節に於けるAQP4の生理的意義および神経因性疼痛の病態生理への関与を中心に検討していく。特に免疫組織学的解析と神経-グリア、グリアアセンブリの機能解析を中心に進めていく。 具体的には、神経因性疼痛にみられるグリアアセンブリ破綻時のCx43や炎症系サイトカインとAQP4の関連を調べるため、AQP4 KOマウスを用いた坐骨神経SNIモデルでのこれらの分子の発現分布・発現量の変化を免疫組織学的手法、生化学的手法を用いて解析し、野生型マウスと比較する。 また、ギャップ結合阻害薬を用いることで、神経因性疼痛の病態におけるグリアアセンブリの寄与を評価する。
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