2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体内で起こる皮質回路シナプス可塑性におけるアストロサイトの役割
Publicly Offered Research
Project Area | Glial assembly: a new regulatory machinery of brain function and disorders |
Project/Area Number |
26117520
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平瀬 肇 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センタ-, チームリーダー (90392084)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グリア / アストロサイト / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットで報告されている豊かな環境飼育による脳波オシレーション(γ波)の増大をC57BL/6マウスで再現できるかを検討した。マウスを単離環境あるいは豊かな環境にて6週間飼育した後、ウレタン麻酔下にて海馬脳波を記録した。多点同時記録を行うために。脳波記録には16チャンネル線形シリコンプローブ(電極間距離50μm)を用いた。ウレタン麻酔下では大脳皮質と同期して海馬では脳波状態が遷移する。脳波状態としてはθ波期と非θ期に大別される。θ波期は、より早い30-80Hzのγ波が出現することが知られている。また、γ波は記録位置によって海馬由来と大脳皮質由来の振動が記録される。記録された脳波データのθ波期は、Matlab言語で組まれた解析プログラムにより自動的に抽出され、θ波期のγ波の振幅の比較を行った。その結果、マウスにおいても(単離飼育群と比較して)豊かな飼育群のほうがθ波期のγ波の振幅が右側海馬で大きくなることが確認できた。 次に、アストロサイトがこのような経験依存的な脳の可塑性に関与しているかを検討するために、同様の実験をアストロサイトのカルシウム上昇が抑制されているIP3受容体2型ノックアウトマウスを用いて行った。現在、脳波データの解析を行っている。また、経験依存的変化が大脳皮質でもアストロサイト依存的に起きているかを確認するために、マウスの感覚器(例、ヒゲ)変化が大脳皮質感覚野アストロサイトに与える影響を観測している。麻酔下の観測ではあるが、特徴的なカルシウム変化を観測できる予備データを得たが、さらなる実験と解析を必要としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳実質へのウィルス微少投与手術による脳可塑性の干渉を示唆する結果をふまえ、非侵襲イメージングを可能とする為にアストロサイトに選択的にカルシウム感受性蛍光色素(G-CaMP7)を発現するトランスジェニックマウスの作製を試みた。しかし、アストロサイトに選択的にG-CaMP7を発現するマウスは、いずれも発現量が低く、イメージングに利用するのは不可能であった。したがって、経験依存的に起こる大脳皮質の変化がアストロサイトのカルシウム活動にも起こり得るかを評価する実験の進捗が遅れている。また、マウスの豊かな飼育環境による脳波変化の評価においては、個体差があり、統計的検定をするのにより多くの個体数を必要とすることが判明し、実験に時間がかかっている。マウスでの豊かな環境による脳波変化が得られる飼育条件検討に時間がかかり、電子顕微鏡による形態変化の評価まで着手することが本年度ではできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実験を継続させると共に、データ解析を行う。ヒゲ活動がある時期と無い次期で、アストロサイトのCa2+活動に変化があるのかを調べる。アストロサイト活動依存的に放出される物質の候補の一つであるATPの測定に着手する。アストロサイトCa2+イメージング用トランスジェニック動物作成において、アストロサイトとニューロン両方に強いG-CaMP7を発現する個体を得る事ができたので、ウィルスの代わりに利用することを検討する。豊かな環境飼育によるマウスでの脳波変化はγ波に変化が起きる飼育条件を見出したので、他の脳波パターンにも変化が起きているかを検討する。さらに、アストロサイトのCa2+活動が抑制されている遺伝子改変マウスでも同様の実験を行い、アストロサイトのCa2+が慢性的に起こる神経回路変化に寄与しているかどうかを検証する。
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Research Products
(3 results)