2014 Fiscal Year Annual Research Report
腸内微生物社会形成過程における初期状態の理解
Publicly Offered Research
Project Area | "Matryoshka"-type evolution of eukaryotes |
Project/Area Number |
26117725
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福田 真嗣 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 准教授 (80435677)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 微生物社会 / メタゲノミクス / メタボロミクス / 腸内環境 / 腸内エコシステム / IgA / 代謝産物 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋や土壌など、地球上のあらゆる環境において、多種多様な微生物社会が環境生態系を維持している。われわれヒトを含む哺乳類全般も例外ではなく、その消化管内には数百種類以上で100兆個にもおよぶ共生細菌群が微生物社会を形成している。バランスのとれた腸内微生物社会はヒトの健康維持・増進に有用であることが知られているが、加齢やストレスなど何らかの要因によりそのバランスが崩れてしまうと、いわゆる悪玉菌と呼ばれる有害菌が増加し、宿主にとって有害な腸内発酵(腐敗)を生じることで、大腸癌や炎症性腸疾患、さらにはアレルギーや代謝疾患などが誘発される。その一方で、ビフィズス菌や乳酸菌に代表される善玉菌そのものを摂取することで、バランスの崩れた腸内微生物社会を改善し、上述の疾患の改善や予防を行うセルフメディケーションの重要性が示唆されている。したがって、腸内微生物社会はわれわれの健康と密接にかかわっていると考えられるが、個々の腸内細菌がどのように振舞うことで腸管内における複雑な共生微生物社会を形成しているのか、すなわち腸内微生物社会形成機構の分子機構は不明であった。 そこで本年度は、無菌マウスへ大腸菌およびビフィズス菌を定着させたノトバイオートマウスを作製し、腸内ミニマム生態系モデルとして解析を行った。本モデルマウスから経時的に糞便を採取し、大腸菌およびビフィズス菌各々の糞便中細菌数や、腸管内に分泌される免疫グロブリンA(IgA)の定量、さらには腸内代謝産物のメタボローム解析を実施し、得られた情報から数理生物学的アプローチにより、腸内微生物社会の初期状態を反映する数理モデルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画書のスケジュール通りに、大腸菌およびビフィズス菌定着ノトバイオートマウスを作製し、経時的に採取した糞便の網羅的解析を実施した。また、次年度実施予定だった数理生物学的解析も一部実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の方針は、当初の研究計画通りに無菌マウスへの大腸菌ミューテーター腸内定着試験や、遺伝子改変無菌マウスへの大腸菌ミューテーター腸内定着試験を実施する。
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[Journal Article] Botulinum toxin A complex exploits intestinal M cells to enter the host and exert neurotoxicity.2015
Author(s)
Matsumura, T., Sugawara, Y., Yutani, M., Amatsu, S., Yagita, H., Kohda, T., Fukuoka, S., Nakamura, Y., Fukuda, S., Hase, K., Ohno, H., Fujinaga, Y.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 6
Pages: 6255
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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