2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアの共生を規定する、排除と維持の監視メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | "Matryoshka"-type evolution of eukaryotes |
Project/Area Number |
26117727
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
今居 譲 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30321730)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Parkin / PINK1 / マイトファジー / ミトコンドリア / ショウジョウバエ / ユビキチン / リン酸化 / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、PINK1のリン酸化基質としてモノユビキチンおよびポリユビキチン鎖を質量分析解析により同定し、その生理的意義を明らかにした。すなわち、リン酸化モノユビキチンはParkinのユビキチンリガーゼ活性の活性化に関与した。一方、ミトコンドリア上でのリン酸化ポリユビキチン鎖の発現がParkinのミトコンドリアへの移行およびParkinの活性化に必要であることを培養細胞で明らかにした。さらに、ショウジョウバエにおいてミトコンドリア上にリン酸化ポリユビキチン鎖の模倣体を発現させることにより、PINK1ノックアウトハエのミトコンドリア変性と運動機能の低下が抑制できることを示した。以上から、リン酸化ポリユビキチン鎖は、PINK1-Parkinシグナルを介したミトコンドリア品質管理に重要な役割を担うことが明らかになった。 一方、Parkinユビキチンリガーゼの活性に関与する共役酵素として、K63リンクポリユビキチン鎖を形成するユビキチン結合酵素Ubc13の重要性が示唆されていた。Ubc13は、異物排除に関与するToll様受容体を介した免疫シグナルで重要な役割を担う。そこで、Ubc13ノックアウトマウス由来の線維芽細胞を用いたマイトファジーアッセイおよびUbc13ノックダウンハエを用いた遺伝的相互作用解析によりその役割を評価した。その結果、Ubc13はマイトファジーにおけるParkinの共役酵素として機能しないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Parkinが不良ミトコンドリアを認識して移行する分子メカニズムとして、PINK1とParkinが協働して形成するミトコンドリア上のリン酸化ポリユビキチン鎖の重要性を明らかにした。さらにリン酸化ポリユビキチン鎖形成によるParkinのミトコンドリア移行に関するポジティブフィードバックループの存在を指摘し、論文として報告することができた(Shiba-Fukushima, PLoS Genet 10: e1004861, 2014)。ほぼ同時に独立して論文を発表したハーバード大学のグループも同様の結果を報告しており(Ordureau, Mol Cell 56: 360-375, 2014)、ミニレビューとして両成果が取り上げられた(Riley, PLoS Genet 11: e1004952, 2015)。リン酸化ユビキチン鎖の存在はこれまで全く存在が報告されてなく、そのインパクトは大きい。 一方、Lys63にリンクするユビキチン鎖形成に関与するUbc13のParkinを介したマイトファジーにおいての重要性は以前から報告されていたが、Ubc13ノックアウト細胞およびUbc13ノックダウンハエにおいて、Lys63にリンクするユビキチン鎖の影響がそれほど大きくないことを明らかにし、論文として報告した(Shiba-Fukushima, J Biol Chem 289: 33131-33136, 2014)。以上の成果から、研究の進捗はおおむね順調であると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
リン酸化ポリユビキチン鎖がマイトファジーのシグナル伝達の足場となる可能性が考えられ、マイトファジー時にリン酸化ポリユビキチン鎖に結合する分子の質量分析解析による網羅的同定および培養細胞とショウジョウバエモデルを用いた機能スクリーニングを行う予定である。さらに、スクリーニングで同定された分子のミトコンドリア共生における生理的意義、その破綻による病理的な意味をショウジョウバエモデルと培養細胞を用いて明らかにしていく。 また、不良ミトコンドリアを排除するマイトファジーと細菌を排除するゼノファジー、両応答においてのシグナル伝達因子の共通性、類似性から、リン酸化ユビキチンシグナルが異物排除の一般的なシグナルであるか、進化的な観点も含め様々なモデル生物および細菌を使った研究グループと共同研究により合わせて明らかにしていきたいと考えている。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Phosphorylation of Mitochondrial Polyubiquitin by PINK1 Promotes Parkin Mitochondrial Tethering.2014
Author(s)
Shiba-Fukushima K, Arano, T, Matsumoto G, Inoshita T, Yoshida S, Ishihama Y, Ryu K-K, Nukina N, Hattori N, Imai Y
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Journal Title
PLoS Genet.
Volume: 10
Pages: e1004861
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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