2014 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラム障害における共感性の脳内基盤
Publicly Offered Research
Project Area | Empathic system |
Project/Area Number |
26118501
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
瀧 靖之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10375115)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 共感性 / 脳画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
共感性は、社会におけるコミュニケーションを行う上で不可欠の重要な心的機能である。これまで我々は、大規模な脳MRIデータベースを用いて健常小児における共感性に関わる脳領域が左外側前頭葉である事を明らかにしてきたが、一方、近年増加している自閉症スペクトラム障害は、共感性の異常が見られることが明らかになっている。そのため、本研究は、既に申請者らの研究チームで作成済みの健常小児、健常成人の脳MRIデータベースを用いて、自閉症スペクトラム障害における共感性の脳内基盤を、MRIを用いて脳形態、安静時脳血流、拡散テンソル画像等から明らかにするものである。更に、遺伝要因、環境要因が共感性の脳内基盤とどのような相関が見られるかも明らかにする。つまり、「自閉症スペクトラム障害における共感性の脳内基盤」の研究課題を遂行することを目的とする。具体的には自閉症スペクトラム障害成人、及び同小児から、脳MRI、empathizing quotient(EQ)の質問紙を用いた共感性の程度、食事、運動、睡眠などの生活習慣、WAIS/WISCによるIQ、だ液収集による遺伝子等のデータを収集する。脳MRI画像は、形態画像、血流画像、拡散テンソル画像などを収集し、解剖学的標準化、組織分画、平滑化と呼ばれる処理を行い、voxel-based morphometry (VBM)の手法を用いて局所脳解析を行うためのデータを作成する。遺伝子は、Orageneキットを用いてだ液より収集、抽出し、解析予定遺伝子は、脳形態と相関があることが明らかになっている、BDNF、ApoE、COMTとするが、自閉症関連の遺伝子も今後検討する。平成26年度は10~20歳の自閉症スペクトラム障害児15人の撮像を行っており、現在画像解析、行動データ解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、まず本申請研究に対する東北大学医学系研究科倫理委員会の承認を得て、自閉症スペクトラム障害患者のリクルートを開始し、撮像を行う予定あったが、いずれもほぼ予定通り進んでいるため、概ね順調に推移していると考えられる。また、画像解析に関しても順調に進んでおり、解析関係には特段の問題点は発生していない。また、自閉症スペクトラム障害と共感性に関して、更に知識を深めて研究を推進するために、自閉症研究会を立ち上げて、種々の情報共有とアップデートを行っている。これらのことから、今の所は概ね順調で、特段の大きな問題点は発生していないと考えられるため、引き続き研究を推進していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、予定人数が集まらない時のために、東北大学病院、宮城県立こども病院など、予め複数の医療機関に被験者募集のお願いをするとしているが、今の所はほぼ順調に推移している。ただし、今後被験者数が集まらないときの事を考慮して、上記の医療機関との連携を深めていきたい。また、前述の自閉症研究会に関しては引き続き定期的に会を行い、情報のアップデートに努めていきたい。
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