2015 Fiscal Year Annual Research Report
計算論的モデリングと動物行動実験の融合研究による情動伝染の機能の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Empathic system |
Project/Area Number |
26118506
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片平 健太郎 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60569218)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 情動伝染 / 選択行動 / 学習 / 探索 / 計算論モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの動物において,ある個体が経験した情動が他個体に伝染し何らかの影響を及ぼすことがある。本研究課題ではこの情動伝染が行動におよぼす影響およびその機能的意義を,ラットを用いた行動実験と,そこから得られた行動データの計算論モデリングにより明らかにすることを目指した。当該年度は前年度に確立したラットの選択行動実験にもとづき,ラット個体間の情動伝染が選択行動に及ぼす影響を検討した。具体的には,実験条件ではペアで飼養されているラットのうち片方のラット (デモンストレーターとよぶ) のみを隔離して電撃を経験させ,その直後に再びもう片方のラット (オブザーバーとよぶ) のいるホームケージに戻した。その際に情動伝染が起こることが想定された。統制条件ではデモンストレーターは隔離したのみで電撃は与えなかった。その後,オブザーバーに対し食餌報酬および弱い電撃を結果として伴うレバー選択課題を経験させ,その選択データに対し強化学習モデルのパラメータ推定を試みた。強化学習モデルは,情動伝染が効果を及ぼすと考えられるメカニズムに対応するいくつかのパラメータが含まれるものであった。その結果,情動伝染が起きたと考えられる実験条件では,選択を切り替える探索的な傾向を表現するパラメータが統制条件と比べて増加することがあきらかとなった。その他に検討した,直近の経験にもとづく学習の程度表すパラメータ (学習率) や,嫌悪刺激の価値を表すパラメータが変化するような効果は見られなかった。これらの結果は,情動伝染は行動の切り替えを促し,危機を回避させるような適応的な機能があるということを示唆する。本研究の成果は,動物における情動伝染の機能の理解に貢献するとともに,ヒトにおける共感の進化的基盤とも考えられる情動伝染が進化の過程で獲得されたシナリオを考察する上で一つの有益な知見をもたらすものである。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Insular neural system controls decision-making in healthy and methamphetamine-treated rats2015
Author(s)
Hiroyuki Mizoguchi, Kentaro Katahira, Ayumu Inutsuka, Kazuya Fukumoto, Akihiro Nakamura, Tian Wang, Taku Nagai, Jun Sato, Makoto Sawada, Hideki Ohira, Akihiro Yamanaka, and Kiyofumi Yamada
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 112
Pages: E3930-E3939
DOI
Peer Reviewed